イベント・リポート NO-6
2003年12月03日-05日 at 幕張メッセ
Semicon Japan 2003

12月3日から5日までの3日間、幕張メッセでSemicon Japan 2003が開催された。
半導体市況の回復に伴って、半導体製造装置、材料の世界的な展示会、カンファレンスであるこのイベントも大いに賑わっていた。幕張メッセでの展示会にはたびたび行くが、今回のSemicon Japanのように全ての展示ホールが使用される大きなイベントは非常に稀である。主催の発表によれば、出展社は1,579社、来場者は約10万5千人にも達したとのことである。

(会場入り口)


下記の図は世界のエレクトロニクス産業に占める半導体産業、製造装置、材料の規模を2002年と2005年で示したものである。

半導体製造装置と材料の世界市場規模 (出典:InsideChips.com)

半導体製造の業界団体であるSEMI(Semiconductor Equipment and Material Institute)は、米国西海岸(サンフランシスコ/サンノゼ)の他、中国、韓国、シンガポールの各地でもこのようなイベントを開催している。サンフランシスコ/サンノゼのSemicon Westには小生も何度も足を運んでいるが、今回のSemicon Japanのほうが規模の点でもSemic上回ったような気がした。

この展示会の主役は、最先端の300mmウェハーに対応した製造装置や最先端のテスタ、試験装置などを供給するメーカであることには違いないが、今回はこの展示会に出展していた組み込み技術関連企業の展示風景を紹介する。

ET2003のインテル・ブースにも顔を見せていた明電舎は、PC/AT互換の産業用コンピュータなどを展示していた。同社は11月末に600MHzで動作するPentium Mを搭載したPC/AT互換産業用コントローラの新製品も発表している。
産業用ボードコンピュータのベンダにとっても、半導体製造装置の分野は重要な市場になっているようである。

一方、組み込みシステムの業界では、IPV6技術などでその名前がしっかり定着しているエルミック・システム社はかつて日本市場を席巻したNECのPC、98互換の産業用コンピュータや、SEMI規格準拠の通信システム構築用パッケージソフトウエア、SoftComGEMを展示し、この会場でも存在感を大いに示していた。

ET2003の優秀出展社に贈られたET Awardで、委員会特別賞を受賞した(株)日立製作所のデバイス開発センタが、Semicon Japanにも出展していた。 ET2003で同社はEquator Technologies, Inc.と共同開発したメディア・プロセッサ、BroadGearのみを出展していたが、Semicon Japanでは同社が提供しているBiCMOSプロセスのファンダリ・サービスやデザイン・サービス、デバイス解析評価サービスなどの機能を来場者に訴えていた。

ET2003では、Venture Pavilionの一角でFPGA用のBGA/CSPソケットを展示していたエスイーアル社が、ここでは大きなブースを構え、高速LSIのテスト・ソリューションである、10GHz帯の周波数まで対応したテストソケットなどを出展していた。

ET2003にも出展した半導体ベンチャー協会(JASVA)も比較的、大きなブースを構え、ここで会員会社の最先端技術がプレゼンテーションを交えて紹介されていた。その中には、ET2003でも人気を集めていたダイナミック・リコンフィギュラブル・プロセッサのIPFLEX社も含まれていたのにはちょっと驚かされた。

 

今年のSemicon Japanには、MEMSやRFIDなど、さまざな特設コーナーが設けられており、最新の半導体技術の応用分野についても知識を得ることができた。
半導体製造装置と組み込みシステム技術は深く結びついている。最先端の半導体の製造には多くの組み込みシステム技術が採用されており、これによって製造された高性能プロセッサも組み込みシステム技術の発展なしにはその性能と機能を発揮することはできなくなっていることを再認識しながら、混雑する会場を後にして帰路についた。

(レポーター:M)