イベント・リポート NO-8
ESC San Francisco 2004
3/30-4/1 at San Francisco Moscone
Center
リポータ : EIS編集部 中村
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NO−1
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組込みシステム開発に関係する世界中の技術者にとって、もっとも重要なイベントのひとつである、Embedded
System Conference(ESC)が3月30日からサンフランシスコのモスコーネ・センタにおいて開催された。
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モスコーネ・センタの入り口風景
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とはいっても、今年のESC San Franciscoはドイツのミュンヘンで隔年開催されている”ELECTRONICA“という電子部品の総合展示会を米国バージョンに仕立てた「ELECTRONICA
USA」との併設開催となり、イベントの自体のネーミングも、「electronicaUSA
with Embedded System Conference」となり、ESCはいわば展示会としてはELECTRONICA
USAのおまけ、即ち従の立場となってしまっていた。
小生は会場となったモスコーネ・センタにこれまでSemicon-WestやWescon Showなどの見学や取材で何度も来たとはあるが、恥ずかしながら、ESCの取材、見学で訪れたのは今回が初めてだ。このため、昨年との比較をして感想を述べる立場にはないが、毎年このイベントに参加している人の話では「昨年よりは、出展社、来場者ともに増えた印象」ということであった。確かに、ELECTRONICA USAとの併設となったことで、汎用半導体、コネクタなど機構部品のベンダなどの出展社が増え、主催者発表によると全部で430社の出展者が集まり、モスコーネ・センタのSouth
FallとGateway Fallが展示ブースでほぼ埋まっていた。
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展示会の様子は? 主な出展社
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展示会場に入ると、まず、モトローラ、マイクロソフト、ウィンドリバー、アナログ・デバイスの4社の大きなブースが並んでいた。まずは、この4社のブースの様子を紹介しよう。
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○モトローラ
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まず、半導体事業部門の分社を決定し、分社後の会社名をFreescale
Semiconductorとすることを発表したモトローラのブースでは、次世代のワイヤレス・アプリケーションなどに使用される各種のプロセッサと開発環境を子会社であるメトロワークス社などと共に展示していた。私の目に留まったのは2.4GHz帯のワイヤレス技術のひとつであるZigBeeのデモであった。携帯電話に挿入した専用アダプタからZigBeeを使用してクルマの模型を動かしていた。
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モトローラのブースとZigBeeで動くラジコン・カー
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また、モトローラは、このイベントの登録来場者と出展者に配布されるバッジのネックストラップのスポンサーにもなっていた。自社のロゴや会社名の入ったネックストラップを持っていない場合は、モトローラの競合ベンダの出展者でも3日間、Motorolaの名前が入ったストラップを首から下げることになった。半導体メーカとしてのMotorolaの名前は今年消える運命にあり、かつてこの会社に在籍した小生には、Motoroloraのロゴとネームが入ったネックストラップは良い記念品になった。
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来場者バッジとMotorolaのネーム入りストラップ
各ブースやカンファレンスへの入場者は登録時に配布されたICカードで管理される。
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○マイクロソフト
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この展示会の出展者の中でもっともお金のかかったブースを見せてくれたのはマイクロソフトだったかもしれない。同社は、AMDなどの主要なパートナー企業とWindows
CE.NETやWindows XP Embeddedをプロモーションする共に、これら開発環境をブース内に多くのPCを並べて来場者に体験させる「Hand-On
Seminar」を実施していた。このセミナー会場に着席していながら、説明と全く関係ないプログラムの画面を堂々と眺めている人もいたが、これもご愛嬌というべきか。同社は会期中にWindows
CE.NETの次世代バージョン、ver.5.0の概要を発表していた。
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マイクロソフトのブースと「Hand-On Seminar」風景
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○ウィンドリバー
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ウィンドリバー社は最近になって、RED
Hatと提携して組込みLinux市場への参入を表明し、Linuxベースの開発プラットフォームやVxWorksの新バージョンなどを相次いで発表していただけに、ESCでどのような展示をするの大いに期待していたのだが、同社の製品展示は意外にも非常に簡単なもので、小生は全く意表を突かれてしまった。ウィンドリバー社の広い展示スペースで目に留まるのは、その中心に配置された大きな壁と、広い空きスペースに置かれたNASAの火星探査ローバーの模型だけであった。この火星探査ローバーには、同社のRTOS、VxWorksが搭載されていることで知られている。このような大胆な構成のブースは私のような来場者にとって拍子抜けだったのだが、この火星探査ローバーの模型展示は、イベント全体の優れた出展物を表彰する「Best
of Show」というアワードにおいて、軍需・宇宙部門と、すべての部門を総合した最優秀賞に選出され、表彰を受けていた。
また、Embedded System Conferenceの今年のKeynote Speechは、ウィンドリバーの創設者である、Jerry
Fiddler氏が「Envisioning the Connected World」という講演を行った。プレスの立場で参加した小生には、今年ESCの期間中、ウィンドリバー社の名前が非常に露出していたという印象である。
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「Best of Show」を受賞したウィンドリバー社の展示
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○アナログ・デバイス
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DSP製品などで組込みシステム市場への取り込みを強化しているアナログ・デバイス社は大きなブースで出展していた。
同社の展示には、すべて「LEADING」の文字があり、その中の「ADI」の3文字だけの色を変えて同社の略称が目立つようにしていた。
同社は、BlackFinやTigerSHARCなどの最新DSPの開発環境と具体的なアプリケーション例を、Automotive、Communication、Medical、Industrial、Consumer
Electronicsなどの分野ごとに示していた。特に、Automotiveのアプリケーションとして展示された、BMW
Z4は、「Best of Show」のAutomotive部門のファイナリストにノミネートされ、来場者の注目を集めていた。
このクルマのGPSやオーディオ機能には、アナログ・デバイスの製品が数多く採用されているらしい。
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アナログ・デバイスが展示したBMW Z4と同社のブース受付風景
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今回のESCでアナログ・デバイスの名前を来場者にもっとも強く印象づけたのは、何といっても同社がスポンサーとなって展示会場の近くにあるSONYのエンターテイメント・ビル、Metreonで2日目の夜に開催された「Official
Attendee Party」だったかもしれない。このパーティには、登録来場者が無料で参加することができるのだが、そのパーティの豪華さ、賑やかさは想像を超えるものであった。
会場の様子は写真の通りで、ベランダのようになった広いフロアに設けられたステージでは賑やかなロックバンドが熱い演奏を続け、その前では老いも若きも、また紳士も淑女も「組込みシステム技術」をしばし忘れて狂ったように踊っていた。おかげで、このフロアの床が揺れに揺れ、ちょっと危険性さえ感じるほどだった。
来場者には飲み物、軽い食事のサービスは勿論のこと、高解像度のディジタル・カメラで撮影した写真をその場で印刷して無料配布するサービスまでが行われていた。こうした賑やかなパーティは日本や欧州の展示会ではお目にかかることはなく、イベントを盛り上げ、楽しむアメリカ人の気質を大いに感じた。
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Attendee Partyに登場した派手なロックバンドの熱い演奏
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別のステージでは
趣が異なるメキシコ音楽の演奏
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会場には、来場者向けデジタル写真撮影サービスにも使用されたネバーエンディング・ストリー(?)のキャラクタがあちらこちらに配置されていた。
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会場内で目にとまるキャラクタ
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それにしても、このような豪華なパーティのスポンサーとなったアナログ・デバイス社には大いに敬意を表したい。お世話になりました。
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続く
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