横田英史の読書コーナー
昭和という時代を生きて
氏家齊一郎、塩野米松(聞き手)、岩波書店
2013.3.5 12:00 am
日本テレビの前会長・氏家齊一郎のオーラルヒストリー。本書は、渡邉恒雄や網野善彦、石原慎太郎らとの交遊、共産党や演劇との関わり、歴史観、朝日新聞と読売新聞との対比などを語っている。ちなみにナベツネは、高校時代から友人で読売新聞の記者としても同じ釜の飯を食った間柄である。本書はスタジオジブリ発行の小冊子に掲載されていた連載記事がベースになっており、内容の冗長さと繰り返しが少々気になる。
本書を読み始めて辟易とさせられるのが氏家のエリート意識。ここで嫌になって止めてしまう方も多そうだが、もう少し我慢して読んでも損はない。インタビュイーである氏家の人柄がストレートに表れており、ある意味で貴重である。聞き書きの効果とインタビュアーである作家・塩野米松の力量が発揮された書ともいえる。読み進んでいくと、人物評や歴史観など得るところもある。
書籍情報
昭和という時代を生きて
氏家齊一郎、塩野米松(聞き手)、岩波書店、p.304、¥2,520
横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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