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横田英史の読書コーナー

日本人のための世界史入門

小谷野敦、新潮新書

2013.3.28  12:00 am

 ちょっと変わった世界史読本。“暗記”教科になっている世界史教育の現状を嘆く筆者は、世界史を物語として縦横無尽に展開する。評者のような歴史好きが空き時間に気軽に読むのに向くである。
 筆者は、古代ギリシアから現代までの3000年を対象に蘊蓄を傾けながら語る。新書なので深さはないが、世界史をざっと知ることができる。ある意味で言いたい放題であり、筆者の思想や思い入れが強く出ている。「浮世絵は低俗文化」「小乗仏教ではなく上座部仏教だと教える学者に我慢ならない」「スイスは、スイス銀行を使って世界の裏金を預かるなど、国際倫理を顧みないことで成り立っている」といったフレーズがあちらこちらに登場する。ちなみに本書の特徴の一つが、筆者による書評と映画評になっていることだ。お薦めの書籍や映画、テレビドラマを世界史と関連付けながら論じている。筆者の博覧強記ぶりがよく分かる。

書籍情報

日本人のための世界史入門
小谷野敦、新潮新書、p.271、¥819

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。