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横田英史の読書コーナー

統計学が最強の学問である~データ社会を生き抜くための武器と教養~

西内 啓、ダイヤモンド社

2013.4.15  12:00 am

 ビッグデータへの関心の高さが影響したのか、あるいは刺激的な書名や挑発的な語り口が奏功したのか分からないが、ベストセラーになっている書。統計学が最強な理由について研究成果と事例をたくみに用いながら論じている。帯には「入門書」とあるものの、ハッキリ言って難しい。評者は大学の教養で統計学を履修したが、それでも後半部は少々辛い。統計学について何の知識もないと、読みこなすのは骨だろう。もっとも前半を読むだけでも、十分に読者と筆者の目的は達せられるように思う。時代が要請した書籍なのは間違いないので、進めるとこころまで読み、分からなくなったら諦めることをお勧めする。
 前半部では威勢のいい文言がぽんぽん飛び出す。「統計学を制する者が世界を制する」「統計学は最善最速の正解を出す」「すべての学問は統計学のもとに」「これから10年で最もセクシーな職業」などと筆者は自信満々だ。本書の読むことの意義や重要性を読者に徹底的に刷り込む。紅茶やコレラの話など、事例の使い方も秀逸である。ビッグデータがもて囃されるなか、何が知りたいかを明確にすればスモールデータで十分と言い放つ切れのよさも筆者の持ち味である。
 ちなみに本書が扱うのは大きく六つの分野。具体的には、社会調査法、疫学・生物統計学、心理統計学、データマイニング、テキストマイニング、計量経済学について解説している。

書籍情報

統計学が最強の学問である~データ社会を生き抜くための武器と教養~
西内 啓、ダイヤモンド社、p.320、¥1,680

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。