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横田英史の読書コーナー

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る

川上和人、技術評論社

2013.4.24  12:00 am

 文句なく楽しめる恐竜学の啓蒙書。ここ10年ほどの恐竜学の進展は目覚ましく、鳥類と恐竜の関係に対する見直しが進んでいるという。本書は鳥類学者である著者が、最新の研究成果とともに鳥類の祖先に当たる恐竜について縦横無尽に語る。軽妙な語り口も良いアクセントになっている。そもそも化石しか残っていてないので、筆者は想像力を大きく膨らませて恐竜の姿に迫っている。考古学と同様の楽しさがある。豊富なイラストとともに気軽に読める書なので、リラックスした休日にお薦めである。
 鳥と恐竜の関係が科学的に裏付けられたのは2007年のこと。ティラノサウルスの骨から抽出したコラーゲンのアミノ酸の配列を分析した結果、分子生物学的に恐竜と鳥の類縁性が示唆されたという。このほか「恐竜の体の色は」「恐竜の歩き方は」「恐竜は鳴いたのか」「毒をもつ恐竜は存在したのか」「恐竜はなぜ絶滅したのか」などなど知的好奇心をくすぐる話題を次々に示しながら話を進める。なかなかの手練れである。注目したい研究者が表れた。

書籍情報

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る
川上和人、技術評論社、p.272、¥1,974

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。