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横田英史の読書コーナー

5年後、メディアは稼げるか

佐々木紀彦、東洋経済新報社

2013.12.22  12:00 am

 東洋経済オンラインの編集長が、これからのメディアの在り方について持論を展開した書。欧米の事例を取り上げながら、日本にあったビジネスモデルやこれからのジャーナリストの生き方、ウェブメディアにおける広告コンテンツのあるべき姿を提示している。かつてオンラインの編集長を務めた評者から見て、共感する指摘が少なくない。新聞社や雑誌社、オンライン・メディアの今後に興味をお持ちの方にお薦めの1冊である。ちなみに東洋経済オンラインは、リニューアルから4カ月たった2013年3月にビジネス誌系サイトで1位(ページビューベース)になったという。それもあって、本書の書き口は自信満々である。日経BPをはじめとする日経グループが褒め殺しにあっているのが少々気になるが・・・。
 筆者のメディア業界を見る目は、「メディア人の多くは、目先の仕事や古い慣習にとらわれ、メディアの未来について考えていない」「紙は主に高齢者をターゲットとした媒体となりブランディング、若手の人材育成などが主な役割になる」「一刻も早くウェブ時代の新しい稼ぎ方を見出さないとメディア業界が焼け野原になる」と厳しい。テクノロジー音痴のメディア人は2流という指摘も興味深い。

書籍情報

5年後、メディアは稼げるか
佐々木紀彦、東洋経済新報社、p.204、¥1,260

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。