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横田英史の読書コーナー

精神医療ダークサイド

佐藤 光展、講談社現代新書

2014.1.16  12:00 am

 読売新聞で取り上げた、精神医療の現場の記事をまとめて新書化したもの。誤診の数々、誤った投薬や過剰投薬で廃人状態にする、強制入院制度の悪用による拉致・監禁など、精神医療の現場がこれほどまで酷いとは寡聞にして知らなかった。患者に対する高圧的で差別的な医者や裁判官の態度と言動、拉致され10年以上も監禁生活をおくった人の証言など、これが日本の話なのか信じがたいほどだ。医療現場だけではなく社会全体で考える問題だと筆者は訴える。知られざる闇を知ることができる一冊である。
 本書は7章に分けて、精神医療現場の実態を白日のもとに晒す。誤診、拉致・監禁、過剰診断、過剰投薬、処方箋依存、離脱症状との闘い、暴言面接である。「通院歴もないのに突然、精神科病院に拉致監禁」「薬漬けで廃人状態にして18年間の監禁生活を強要」「自殺願望に悩む患者に首つり自殺の方法を教える」「大量の薬物投与と電気ショックで26歳男性の言葉を失わせる」など、凄まじい実態を明らかにする。

書籍情報

精神医療ダークサイド
佐藤 光展、講談社現代新書、p.336、¥903

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。