横田英史の読書コーナー
仕事に効く 教養としての「世界史」
出口治明著、祥伝社
2014.4.2 12:00 am
「先人に学べ、そして歴史を自分の武器とせよ」「歴史を学ぶことは、楽しいことであり仕事に効く」。冒頭で筆者は、本書に込める思いをこう紹介する。ライフネット生命保険の代表取締役会長兼CEOで、読者家として知られる筆者が、自らの世界史観を開陳した書である。世界史を単発の出来事の集合ととらえるのではなく、相互に関連付けて鳥瞰的に世界の動きを解釈する。語り口は平易だが説得力がある。学生時代に“暗記科目”だった世界史が魅力的に見えてくる。歴史に興味をもつ方が、取っ掛かりに読むと勉強のモチベーションが高まりそうだ。
本書は10の視点から世界史を読み解く。例えば第1章は「世界史から日本史だけを切り出せるだろうか」と題し、奈良時代に相次ぐ女帝と中国との関係、鉄砲伝来と欧州での宗教革命や世界交易との関係などを解釈する。このほか「歴史は、なぜ中国で発達したのか」「神は、なぜ生まれたのか。なぜ宗教はできたのか」「中国を理解する四つの鍵」「キリスト教とローマ教会、ローマ教皇について」などについて筆者の見解を明らかにする。
書籍情報
仕事に効く 教養としての「世界史」
出口治明著、祥伝社、p.344、¥1,890
横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
新着記事
-
EdgeTech+2024 AWARD発表、エッジ、AI、オートモーティブ分野で優秀技術を選出
2024.11.15 11:54 am
-
ヴィクトリア朝時代のインターネット
2024.6.23 8:48 am
-
ヨーロッパ史 〜拡大と統合の力学〜
2024.6.20 8:46 am
-
脳科学で解く心の病 〜うつ病・認知症・依存症から芸術と創造性まで〜
2024.6.15 8:44 am
-
仕事と人間(上)〜70万年のグローバル労働史〜
2024.6.11 8:42 am
-
結婚の社会学
2024.6.6 8:41 am
-
日ソ戦争 〜帝国日本最後の戦い〜
2024.5.31 8:39 am
-
世界は経営でできている
2024.5.24 8:37 am
SOLUTION
REPORT
横田英史の 読書コーナー
お薦めセミナー・イベント情報
ET/IoT Technology Show
Back Number
Pick Up Site
運営
株式会社ピーアンドピービューロゥ
〒102-0074
東京都千代田区九段南4-7-22
メゾン・ド・シャルー3F
TEL. 03-3261-8981
FAX. 03-3261-8983