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横田英史の読書コーナー

(歴史のなかの日本政治 3)近代中国をめぐる国際政治

北岡伸一・監修、川島真・編、中央公論新社

2015.6.1  8:00 pm

 日中関係を中心に近代中国をめぐる国際情勢を論じた書。19世紀後半から第2次世界大戦の終結までを扱っている。太古の昔から学ぶ日本史では、近代に割く時間はきわめて短くなり、近代の中国や日中関係には知らないことが多い。その意味で、当時の日中外交における両国の駆け引き、清国や満州、ロシアの状況、琉球政府の立ち位置、諸外国の動きなどを鳥瞰する本書は勉強になる。
 例えば、日本が貿易環境の改善を図る目的で、清に対して琉球分割を交換条件として出した話や、日本の対日侵略の象徴の一つと言われる「21箇条の要求」など寡聞にして知らなかった。日露戦争の前と後に分けて、満州をはじめとした日本の対中外交の変化を具体的に探っているところも興味深い。日中関係に無関心ではいられない現在、読んで損はない書である。

書籍情報

(歴史のなかの日本政治 3)近代中国をめぐる国際政治

北岡伸一・監修、川島真・編、中央公論新社、p.274、¥3456

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。