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横田英史の読書コーナー

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か

小林雅一、講談社現代新書

2015.6.3  8:02 pm

 人工知能、脳科学、機械学習、ディープラーニング、ニューラルネット、将棋電王戦など、読者が飛びつきそうなキーワードをこれでもかと並べた新書。平易な文章で、バズワードの数々を上手く交通整理している。一般向けの新書としての出来は悪くない。ただしEIS読者は、技術的な深みがないので物足りなく感じるかもしれない。
 本書はインターネットや雑誌記事を効果的に引用しながら、最近の動きを解説する。一方で独自取材が少ないのは少々残念である。「人工知能は人類の敵か」や「最新AIの驚異的実力と人類滅亡の危惧」「日本の全産業がグーグルに支配される日」といった見出しは仰々しくキャッチーだが、裏付けの取材が少なく説得力はイマイチだ。ちなみに著者は元・日経エレクトロニクスの記者で、評者が記事を査読したこともある。そのため少々辛口の評価になっているかもしれない。

書籍情報

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か

小林雅一、講談社現代新書、p.256、¥864

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。