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横田英史の読書コーナー

佐治敬三と開高健~最強のふたり~

北康利、講談社

2015.7.7  10:58 am

 サントリー創業一家の佐治敬三と芥川賞作家の開高健。キャラの立った二人の交流を軸に、それぞれの人生を扱った評伝。評伝としては十分面白い内容だが、「最強のふたり」というタイトルにしては交流部分に物足りなさが残る。キャラの立った関西人の二人だけに、もっと面白いことがありそうなのだが…
 佐治については、朝のテレビ小説「マッサン」にも登場した父・鳥居信治郎にさかのぼってサントリー(寿屋)の歴史をたどる。マッサン・竹鶴政孝のほか、松下幸之助との奇縁など多彩なエピソードが語られる。サントリーの「やってもみなはれ」の企業文化、悲願とも言えるビール事業における悪戦苦闘、オールドをはじめとするウイスキー事業、サントリーホールやサントリー美術館などの文化事業などを取り上げる。
 開高については、芥川賞受賞までの道のり、寿屋(サントリー)宣伝部での活躍、広報誌・洋酒天国の発行のほか、ベトナム従軍や谷沢永一との親交、妻・牧羊子については取り上げる。特にベトナム従軍の話は読み応え十分だ。

書籍情報

佐治敬三と開高健~最強のふたり~

北康利、講談社、p.482、¥1944

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。