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横田英史の読書コーナー

天才

石原慎太郎、幻冬舎

2016.3.20  11:57 am

 田中角栄自身が自らの生い立ちや人生哲学、政治哲学、金銭感覚、女性観などを語る体裁をとる評伝。反田中の急先鋒だった石原が書いたという意外さもあって、ベストセラーになっている。文字が大きく、行間も広い書籍なのであっという間に読める。肩の凝らない内容なので、ちょっと時間があるときの暇つぶしに向く書である。

 冒頭が金銭や役人、賄賂についての述懐なのはいかにも田中角栄の評伝らしい。本書で出色なのは政治家に対する人物評と処世術(人たらし法)だろう。特に処世術はいかにも田中らしい内容である。毛沢東や周恩来の人物評など、日中国交正常化交渉の舞台裏も興味深い。

書籍情報

天才

石原慎太郎、幻冬舎、p.226、¥1512

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。