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横田英史の読書コーナー

ムーンショット!

ジョン・スカリー、川添節子・訳、パブラボ

2016.5.13  6:48 pm

 スティーブ・ジョブズに請われて米アップル社長に就任し、その後、ジョブズを追い出したことで知られるジョン・スカリーによる経営書。10億ドル規模のビジネスの立ち上げ方を紹介している。スカリーの著書というので期待したが、もの凄く役立ち感があるとは言いがたい。がちなみにムーンショットとは、シリコンバレーの用語で「それに続くすべてをリセットしてしまう、ごく少数の大きなイノベーション」のことをいう。

 著者が注目するのは、クラウド、センサー、ビッグデータ、モバイル機器の技術進歩によって、従来のビジネスプロセスを根底から覆し破壊的な価格を可能にする環境が整ったということ。10億ドル規模の新規事業を立ち上げるのには絶好の時代だと主張する。ちなみに今の時代に起業家として成功するのは、ジェフ・ベゾス、イーロン・マスクといった適応型イノベータで、スティーブ・ウォズニアックやゴードン・ムーア、ボブ・ノイス、アンディ・グローブといった破壊型イノベータではないと主張する。

書籍情報

ムーンショット!

ジョン・スカリー、川添節子・訳、パブラボ、p.238、¥1728

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。