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横田英史の読書コーナー

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

デイヴィッド・ミーアマン・スコット、ブライアン・ハリガン、渡辺由佳・訳、日経BP社

2016.6.20  10:15 am

 米国のロックバンド「グレイトフル・デッド」の活動を通して、マーケティングを論じた書。例えばグレイトフル・デッドは、40年以上前から自分たちの音楽を無料で開放している。その結果、たくさんのファンが賛同を示しコミュニティが形成され、ライブとその関連ビジネスで大きな市場を生み出した。いまでいう「シェア」「フリー」「ソーシャルメディア」の先駆け的な存在である。開放が売り上げに悪影響を与えるという考え方が主流だった時代だけに先進性がよく分かる。今どきのマーケティングを具体的に知りたい方にお薦めの1冊である。

 本書の特徴はグレイトフル・デッドの活動を紹介したあとで、“ACTION”というスペースを設けてマーケティング的な意味を復習しているところ。マーケティング要諦を改めて知ることができ、初学者にとってはありがたい。装丁が凝っているのも本書での特徴である。評者は電子書籍で読んだが、できれば紙の書籍の方が味わい深く読書をより楽しめるだろう。

書籍情報

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

デイヴィッド・ミーアマン・スコット、ブライアン・ハリガン、渡辺由佳・訳、日経BP社、p.274、¥1836

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。