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横田英史の読書コーナー

左遷論~組織の論理、個人の心理~

楠木新、中公新書

2016.7.28  8:25 pm

 キャッチーなタイトルに釣られて買った書だが、内容的には左遷論というよりも、日本企業における人事制度論。左遷のメカニズムについても論じているが、長期安定雇用や年次別一括管理、年功序列的な人事評価といった人事制度に多くのページを割いている。ビジネスパーソンが、理不尽な左遷をバネに敗者復活する物語を期待して買うと後悔するかもしれない。もっとも筆者は大手生命保険会社を定年退職まで勤め上げており、本書には定期異動発表日の場面などビジネスパーソンの考え方や心情を的確にとらえて共感できる部分が多い。

書籍情報

左遷論~組織の論理、個人の心理~

楠木新、中公新書、p.229、¥886

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。