横田英史の読書コーナー
信頼と裏切りの社会
ブルース・シュナイアー、山形浩生・訳、エヌティティ出版
2016.8.9 9:53 am
人間社会において信頼がどのように構築・維持され、あるいは裏切り行為を排除してきたかについて論じた書。社会科学や経済学だけではなく生物学、哲学などの知見や知見を動員して多角的に分析している。インターネットやグローバル化によって、従来の枠組みでの信頼の構築・維持が機能しないケースが増えている。筆者はこうした時代における新たな枠組みついても考察する。筆者はコンピュータ・セキュリティの専門家。相手が見えることを前提にした、これまでの社会的圧力や道徳的圧力が効きづらいインターネット時代の“信頼”を考えるにはうってつけだろう。
筆者は、導入部で信頼を社会的な側面、歴史的な側面から論じる。次に信頼の構築・維持を可能にしてきた社会的なモデルを紹介するとともに、現実社会への適用について議論をすすめる。
社会は社会性圧力を使って信頼性を強制、誘導、導出、奨励してきたと語る。社会性圧力は道徳的圧力、評判圧力、組織制度的圧力、セキュリティシステムなどから成るが、人々から協力を引き出し、集団の利益にかなう行動をさせ、集団規範に従わせるための恫喝メカニズムである。筆者は社会性圧力について具体的な事例を用いて解説しておりを理解が進む。
書籍情報
信頼と裏切りの社会
ブルース・シュナイアー、山形浩生・訳、エヌティティ出版、p.510ページ、¥4536

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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