横田英史の読書コーナー
人体600万年史(上)~科学が明かす進化・健康・疾病~
ダニエル・E・リーバーマン、塩原通緒・訳、早川書房
2016.12.8 2:28 pm
人類進化の壮大な歴史を扱った書。二足歩行、果実以外のものを主食とすること、おしゃべりなどが人類の進化で大きな役割を果たしたことを明らかにする。例えば二足歩行。人類の系統をほかの類人猿と別の道に進ませる最初のキッカケとなったのは、大きな脳でも言語でも道具使用でもなく、二足歩行だったという。へ~っと思うような話が次々に登場し、知的好奇心を満足させられる。
大きな脳も人間の大きな特徴の一つである。しかし大きな脳は、とんでもなく大量のエネルギーを消費する。たいていの種ではとてもそんなコストを払えない。人類は文化的な柔軟性と独創性を備え、狩猟採集した食べ物を配分する仕組みを生み出しエネルギー面の不安を払拭した。このおかげで、大きいコストの脳をもてるようになったという。
現生人には新しい道具を発明し、新しい行動を採用し、芸術の形で自己表現しようという傾向があった。おしゃべり好きも特徴だ。このいずれもが欠けたネアンデルタール人は絶滅し、現生人は生き残った。おしゃべりの効用という視点は新鮮である。
書籍情報
人体600万年史(上)~科学が明かす進化・健康・疾病~
ダニエル・E・リーバーマン、塩原通緒・訳、早川書房、P.332、¥2376

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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