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横田英史の読書コーナー

病院は東京から破綻する~医師が「ゼロ」になる日

上 昌広、 朝日新聞出版

2017.5.25  3:22 pm

 具体的なデータをもとに、首都圏の医療が崩壊していることを現役の医師が告発した書。見分けかた」といった刺激的な話が続く。このほかにも病院に医師を確保するための利権の構造など寡聞にして知らなかった話が多く、医療の現状把握に役立つ。

 医師は首都圏から地方に流出し、理学療法も地方が進んでいるケースが少なくないという。首都圏の大学病院や私立病院は倒産の危機に瀕し、病院難民が生まれようとしている。厚労省幹部(匿名)との対談「日本の医療制度は最短5年で破綻する」も興味深い。

 このほか、「首都圏の医師は足りていない」「病院は偏在している」「老老医療がやってくる」「医師増員を阻むもの」「医師派遣という利権を正すには」「看護師と理学療法士も足りない」「いい病院、ダメな病院」と、刺激的な文言が並ぶ。

書籍情報

病院は東京から破綻する~医師が「ゼロ」になる日

上 昌広、 朝日新聞出版、p.192ページ、¥1620

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。