横田英史の読書コーナー
ネーミング全史~商品名が主役に躍り出た~
岩永嘉弘、日本経済新聞出版社
2017.8.14 12:16 pm
洗濯機「からまん棒」や渋谷「Bunkamura」、日清「Oillio」、JR東日本「イオカード」、新宿駅ビル「新宿 MY CITY」などの名付け親であるコピーライターによる日本のネーミング史。「お~いお茶」、「ごはんですよ!」、東京駅前の日本郵政のビル「KITTE」、雑誌「STORY」や「Saita」、無印良品、化粧品「TSUBAKI」といったよく知っているネーミングの解題は読んでいて実に楽しい。個々の解題は“短く鋭く”なので、スキマ時間に読むのに向く。
筆者はネーミングの仕組みを体系的に紹介するとともに、最後にネーミングの方法論(コツ)を伝授する。雑誌のコラム名や新規Webサイトのネーミングで何度も悩んだ評者には、とても役立ち感のある1冊だった。日経広告研究所の「広研レポート」と日経産業新聞の「ネーミング NOW」という連載をまとめたこともあって、内容に若干のダブリ感があるのが残念である。
筆者はネーミングをブランディングだと位置づけ、イメージブランディングとメッセージブランディングに分けてネーミングの作法を明らかにする。本書で印象に残ったのは「商品パッケージの広告化」である。新商品は年々増加するものの、投入できる広告費には限りがある。その結果、広告費を出してもらえない商品が増えてくる。こうした商品は、商品名を喋り言葉にしたり、妙に長くしたり、和語を使ったり、さらにはパッケージを広告化することで消費者に訴えかけるというものだ。
書籍情報
ネーミング全史~商品名が主役に躍り出た~
岩永嘉弘、日本経済新聞出版社、p.312、¥2484
横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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