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横田英史の読書コーナー

プラットフォーム・レボリューション〜未知の巨大なライバルとの競争に勝つために〜

ジェフリー・G・パーカー、マーシャル・W・ヴァン・アルスタイン、サンジート・ポール・チョーダリー、妹尾堅一郎・訳、渡部典子・訳、ダイヤモンド社

2019.6.5  11:50 am

 GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon.com)やUber、Airbnb、OpenTableなどをケーススタディとして用いて、プラットフォームビジネスの実際、強さの源泉、成功するアーキテクチャの設計原則、立ち上げのための8つの戦略、成長と収益化のための方策、評価指標、規制、今後の行方など多角的に解説した書。プラットフォームに関する記事や書籍が多いなか、さほど期待せずに読み始めたが、明晰な分析と平易な語り口で読後感は悪くない。章末ごとに置かれた要点もうまく整理されており役立ち感がある。

 筆者はプラットフォームビジネスをパイプライン型ビジネスと比較して解説する。パイプライン型における価値は、生産者から消費者へ直線的に移転される。経営資源は生産者が抱える。一方生産者と消費者がプラットフォーム上で価値をやり取りする。経営資源は外部のコミュニティに求める。参加するプレーヤーが増えれば増えるほど、価値が高まるネットワーク効果がプラットフォームビジネスの特徴である。

 本書の巻末に掲げられた妹尾堅一郎の解説記事もいい。ここから読み始めるのもお勧めである。筆者はMITデジタル・エコノミー・イニシアチブの研究者ら。豊富な事例を使った分析は説得力がある。プラットフォームビジネスについて学びたい方にお薦めできる。

書籍情報

プラットフォーム・レボリューション〜未知の巨大なライバルとの競争に勝つために〜

ジェフリー・G・パーカー、マーシャル・W・ヴァン・アルスタイン、サンジート・ポール・チョーダリー、妹尾堅一郎・訳、渡部典子・訳、ダイヤモンド社、p.520、¥2592

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。