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横田英史の読書コーナー

When 完璧なタイミングを科学する

ダニエル・ピンク、勝間和代・訳、講談社

2019.6.12  10:04 am

 仕事、人生、事業、健康におけるタイミングの重要性と、タイミングとは実は科学であることを説いた書。ダニエル・ピンクの書らしく視点がユニークで面白い。How to本ならぬ、When to本である。筆者は人間の肉体的や心理的な状態に対する新たな知見を提示する。学際的な研究やデータに基づいた議論には説得力がある。賢い生き方やより良い生き方について役立つ指針を示しており、多くの方にお薦めできる1冊に仕上がっている。

 本書が対象とするのは、仕事の種類とタイミング(朝・昼・晩でやるべき仕事は何か)、株主総会のタイミング(総会を開くタイミングが株価に影響する)、運動のタイミング(減量や鍛錬、怪我を考慮したタイミング)、休むタイミング(注意力を高める休み方)、誠実性と時刻の関係、休憩と成績の関係などなどだ。1日における最高と最低のパフォーマンスの差は、しらふの状態と法的に認められたアルコールを摂取した場合の差に匹敵するという。このほか結婚や転職のタイミングや事業の始め方、中年の危機などについても考察する。読んでていて楽しくなる書である。

書籍情報

When 完璧なタイミングを科学する

ダニエル・ピンク、勝間和代・訳、講談社、p.322、¥2376

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。