横田英史の読書コーナー
都市で進化する生物たち〜“ダーウィン”が街にやってくる〜
メノ・スヒルトハウゼン、岸由二・訳、小宮繁・訳
2020.11.28 12:08 pm
都市で今まさに起きている生物の進化を追った書。生物にとって都市こそが進化のフロンティアであり、外来種が都市の生物多様性に貢献しているという指摘は興味深い。「外来生物=NG」という単純な考え方では捉えきれない生物のしたたかさ(生命力)が感じられる良書である。
冒頭ではロンドンの地下鉄に巣食う「ロンドンチカイエカ」を取り上げる。地下鉄の路線ごとの環境に適用して、異なる進化を遂げたというエピソードを紹介する。評者のような動物好きはここでぐっと引きこまれる。タバコの吸殻で巣を作る鳥の話も面白い。吸い殻の防虫効果を利用することで、ダニの発生を防いでいるという。このほかツバメの羽根の長さは都市ほど短くなっており、交通量の多い道路からも素早く飛び立てるなどのエピソードが満載である。
都市環境に最もよく適応・進化しつつある種の多くは非在来種で、欧州や北米の都市では野生生物の35〜40%を外来種が占めているという。生物たちは都市で、生態系を自ら作り出しているわけだ。
書籍情報
都市で進化する生物たち〜“ダーウィン”が街にやってくる〜
メノ・スヒルトハウゼン、岸由二・訳、小宮繁・訳、p.349、¥2200

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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