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横田英史の読書コーナー

Small Factory 4.0:第四次「町工場」革命を目指せ!〜IоTの活用により、たった3年で「未来のファクトリー」となった町工場の構想と実践のすべて〜

木村哲也、三恵社

2021.4.4  3:05 pm

 ティア1自動車部品メーカである旭鉄工のスマート工場化の歩みを、運用も含め社長自らが解説した書。旭鉄工は資本金2700万円、年商150億円の中小企業である。本書の内容はきわめて具体的。説明は懇切丁寧でわかりやすい。中小企業のDX推進の教科書に使えそうな1冊である。
   
 著者の木村哲也はトヨタ自動車から転籍したエンジニアで、IoT活用による生産性向上の指揮を自ら執った。ポイントは中小企業の身の丈にあったIT投資を徹底したところ。目的を明確にし、古い機械も使えるものは使い、過大投資にならないように留意した。企業風土の改善策なども具体的で、現場感があふれているのも好感が持てる。
   
 筆者は図や表、写真を効果的に使っており、読者の理解を助けてくれる。なお旭鉄工は、本書で紹介しているシステムと運用ノウハウを提供する「i Smart Technologies株式会社」を2016年に設立し、国内の100社以上にサービス提供をしているという。

書籍情報

Small Factory 4.0:第四次「町工場」革命を目指せ!〜IоTの活用により、たった3年で「未来のファクトリー」となった町工場の構想と実践のすべて〜

木村哲也、三恵社、p.128、¥1650

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。