横田英史の読書コーナー
これからの「社会の変え方」を、探しにいこう。〜スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー ベストセレクション10〜
SSIR Japan編集、SSIR Japan
2021.9.25 11:34 am
社会を変える力を持つソーシャルイノベーションとは何か、どのように立ち上げ、どのように実践すべきかを具体的に紹介した書。スタンフォード大学が2003年に創刊したスタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー(SSIR)誌から10本の論文を選び、ソーシャルイノベーションの現状と今後を論じる。抽象論や観念論に終わらず、事例に基づき、企業や非営利団体、行政が組織の枠を越えてとるべき方策や在るべき立ち位置を提示する。
ソーシャルイノベーションは、マイノリティや貧しい人を助け社会全体を豊かにすることを目指す考え方である。経済的・社会的価値の分配バランスが、社会全体に傾いた動きを指している。目新しさや改善が重要で、より持続可能であることや、より公正であることに重きを置く。「富める者が豊かになれば、貧しい者にも富がこぼれ落ち豊かになり、経済が良くなる」と考えるトリクルダウン理論とは真逆の経済政策を志向する。
ソーシャルイノベーションの実現には、ビジネス界のアイデアや方法論を、非営利分野や行政分野の活動に適用することが不可欠である。実際にこうした事例が爆発的に増えているとする。本書は、新自由主義とは真逆の米国ビジネスの新しい動きを知ることのできる好著である。これから注目を浴びそうなBコーポレーション(社会に利益をもたらすことを非常に深くコミットする営利企業)やカーブカット効果、コレクティブ・インパクトといったキーワードがいくつも登場するので、予習の意味でも一読する価値がある。
書籍情報
これからの「社会の変え方」を、探しにいこう。〜スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー ベストセレクション10〜
SSIR Japan編集、SSIR Japan、p.192、¥2970

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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