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横田英史の読書コーナー

NFTの教科書〜ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計まで デジタルデータが資産になる未来〜

天羽健介、増田雅史、朝日新聞出版

2022.1.21  9:55 am

 NFT(非代替性トークン)の現状を事例ベースで紹介するとともに、法律や会計、税務の問題、未来予想図をまとめた書。実際にNFTビジネスにかかわる27人の実務者が書いており、説得力に富む。現状を手早く認識するのに向く。特に流行りのメタバースとの関係は必読だろう。NFTに関心がある方がまず読むのにお薦めの1冊である。
      
 NFTの事例として、アート、国内外ゲーム、メタバース、スポーツ、トレーディングカード、ファッション、音楽を取り上げる。正直な話、NFTがこれほどまで広がっているとは寡聞にして知らなかった。ただし動きが激しい分野なので陳腐化も早そうだ。技術課題に関しても、決して多くはないがページ数を割く。
       
 出色なのは、スマホゲームgumiの創設者による「NFTの展望」である。NFTのインパクトをうまく伝えている。NFTはパラダイムシフトの一翼を担っており、単なる投機と考えると将来を見誤る可能性があることを指摘する。この部分だけでも本書を読む価値がある。新聞記者のパートもあるが、世界観や見識の点で雲泥の差だ。

書籍情報

NFTの教科書〜ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計まで デジタルデータが資産になる未来〜

天羽健介、増田雅史、朝日新聞出版、p.320、¥1980

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。