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横田英史の読書コーナー

2030 半導体の地政学〜戦略物資を支配するのは誰か〜

太田泰彦、日本経済新聞出版

2022.3.3  10:50 am

 半導体についての現状を、新聞記者らしく上手に整理した書。日本、米国、中国、欧州、アジアの状況を手際よく紹介する。最近の半導体を巡る動きをまとめて読めるので、それなりのメリットはある。丸の内あたりの書店でベストセラーになっているのも納得である。
 反面、半導体をウオッチしている方には既知の話題が多く物足りないかもしれない。“ありもの”をまとめた感が漂い、新規性に乏しい。丹念に資料を読み込み、足を使った取材で深堀りした力作といった感じはしない。深堀りした内容を期待して買うと失望するだろう。内容もすぐに陳腐化しそうである。

書籍情報

2030 半導体の地政学〜戦略物資を支配するのは誰か〜

太田泰彦、日本経済新聞出版、p.288、¥1980

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。