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横田英史の読書コーナー

体験設計:ビジョンから優れた経験価値の創出へ

髙橋克実、丸善出版

2022.3.21  10:58 am

 体験を設計(デザイン)し、ユーザーに豊かな経験を提供する「体験設計」について、考え方やマネジメント方法を紹介した書。体験設計の普及に向けた筆者の意気込みが伝わってくる内容である。実際に使った多くの事例や体験設計を適用するためのフレームワーク「ビジョン提案型デザイン手法」を紹介している点も評価できる。ただし、抽象的な内容を盛り込み過ぎた結果、消化不良気味なのは残念である。デザイン思考との違いや体験設計の優位性も腹落ちしない。
     
 本書の良さは、実際に手を動かしてみて初めて理解できるのかもしれない。後半で紹介している「ビジョン提案型デザイン手法」などのツールを使った例題は分かりやすく理解が進む。実例を用いながら適用法や効果により多くの紙面を割いて解説した方が、体験設計の理解と本書の価値は高まっただろう。

書籍情報

体験設計:ビジョンから優れた経験価値の創出へ

髙橋克実、丸善出版、p.192、¥2640

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。