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横田英史の読書コーナー

朝日新聞政治部

鮫島浩、講談社

2022.6.4  8:47 am

 福島原発事故の原因を探るために行われた吉田昌郎・福島第一原子力発電所所長への調書をすっぱ抜いた特ダネに関わった政治部記者が、自らの記者人生を振り返るとともに、朝日新聞のトホホな内情を明らかにした書。吉田調書の朝日新聞記事に対してバッシングが起こった経緯、朝日新聞幹部のリスクマネジメント、現場記者の処分までの動きなどを克明に綴る。
      
 なんとも湿気の多いドロドロした内容で、この書評で取り上げた新しい調査報道機関「べリングキャット」の対局に朝日新聞がいることがよく分かる。新聞社や新聞記者の内情を知りたい方には向くが、新聞記者の傲慢さや権力志向の強さ、人事好き、言っていることとやっていることの乖離の大きさを知る方には、本書の内容は想定の範囲にほぼ収まるだろう。

書籍情報

朝日新聞政治部

鮫島浩、講談社、p.‎304、¥1980

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。