横田英史の読書コーナー
病んだ言葉 癒やす言葉 生きる言葉
阿部公彦、青土社
2022.7.8 1:13 pm
英文学者の東京大学教授が、日本の英語教育や国語教育、大学入試制度への批判のほか、森鴎外や夏目漱石、太宰治、大江健三郎、カズオ・イシグロらの小説への批評を単行本化した書。「言葉を甘く見てはいけない」という筆者の主張が伝わってくる書である。小説をここまで深く読み込むのか、言葉にここまでこだわるのかなど、言葉を操る仕事に就く者として背筋が伸びる気持ちにさせられた。
本書は大きく2つのパートから成る。一つは日本の教育問題。もうひとつは小説家の病気と文体との関係に迫った文芸批評である。教育については、大学入試における英語民間試験活用の問題点を、英語教育に携わる大学教授の視点から取り上げる。もう一つは、高校の国語教育で、論理的な文章や実用的な文章に重点を置く「論理国語」への批判である。30年以上も「論理国語」を仕事にしている評者は、文学国語と論理国語に分けることに大きな違和感を感じる。
書籍情報
病んだ言葉 癒やす言葉 生きる言葉
阿部公彦、青土社、p.367、¥2200
横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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