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横田英史の読書コーナー

初めて書籍を作った男〜アルド・マヌーツィオの生涯〜

アレッサンドロ マルツォ マーニョ、清水由貴子・訳、柏書房

2022.11.5  10:36 am

 目次やカンマ、ページ番号(ノブルとも言う)、イタリック体、索引、文庫本などの書籍の基本を発明したイタリア人 アルド・マヌーツィオ(Aldus Manutius)の評伝。評者のような職業の人間としては知っておくべき偉人だが、寡聞にして知らなかった。評伝なので仕方がない部分もあるが、15世紀の王侯貴族との交流やヴェネツィアなどの話が多く、書籍の発明でワクワクする部分が少ないのは残念である。本好きの方など読者を選ぶ書籍で万人向けとは言えないが、内容自体は悪くない。
      
 ちなみにDTPソフト「PageMaker」で知られるアルダス(Aldus)の社名は、アルド・マヌーツィオの名前に由来する。アルダスは、1994年にアドビシステムズ(現アドビ)に買収され、現在は存在しない。

書籍情報

初めて書籍を作った男〜アルド・マヌーツィオの生涯〜

アレッサンドロ マルツォ マーニョ、清水由貴子・訳、柏書房、p.268、¥2640

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。