横田英史の読書コーナー
地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか〜太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来〜
宮原ひろ子、DOJIN文庫
2023.8.23 6:30 pm
宇宙とのつながりから地球を知る「宇宙気候学」を紹介するとともに、太陽や宇宙の環境が地球にどのような影響を与えるのかを解説した啓蒙書。宇宙規模のダイナミックな話が多く、豊富な図や写真とともに楽しく読み進むことができる。このところ話題になっている宇宙天気予報への言及もあり、宇宙に関心のある方にお薦めの1冊である。本書は2014年に出版された書籍を文庫化したものだが、最新の知見に基づく続編を期待したいところだ。
筆者はまず太陽の成り立ちや活動について解説する。黒点や磁場といった太陽の活動が地球の気候変動に与える影響について論じ、地球の過去・現在・未来について言及する。太陽における爆発現象である太陽フレアは、放射線被曝や送電線網への影響(例えば停電)などで、100兆円〜200兆円規模の経済的損害につながる可能性があるという。
地球史上の大事件と宇宙環境の変化との関連性についての解説が面白い。例えば、24億〜21億年前と8億〜6億年前に起こった全球凍結が天の川銀河がスターバーストを起こした時期と一致する。1.4億年ごとの寒冷化が太陽系が「銀河の腕」を通過するタイミングと一致するという。大量絶滅が起こったあとに生物種が急速に増えた要因として、地球近傍にあった超新星の残骸から発せられた通常の100〜1000倍もの放射線が生物のDNAに影響し、進化のスピードが加速した可能性を示唆する。
書籍情報
地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか〜太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来〜
宮原ひろ子、DOJIN文庫、p.228、¥990

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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