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横田英史の読書コーナー

アフターChatGPT〜生成AIが変えた世界の生き残り方〜

山本康正、PHPビジネス新書

2023.8.26  6:37 pm

 書名にある「アフターChatGPT」を、「ChatGPT(生成AI)の次に来るもの」だと勘違いして購入した書。筆者は、ChatGPTとはなにか、どう使うか、ビジネスへの影響などを解説する。ChatGPTについて最低限の知識を手早く得たい方に向く。初めて読む生成AI本としては、お手頃な価格もあって問題ないだろう。ただし、少し気の利いた生成AI本をすでに読んだ方にとっては新たに得るものは少ない。パンチ力が決定的に不足しているので、編集者はもう一工夫して紙価を高めるべきだった。
     
 章立ては、「第1章 ChatGPTの衝撃」「第2章 なぜ今、生成AIが登場したのか」「第3章 『アフターChatGPT』のビジネス」「第4章 日本企業は『アフターChatGPT』をどう生きればいいのか」とオーソドックスである。刮目すべき内容に乏しく、もうひと捻り欲しかった。AI関連ビジネスを手がける人材との対談を組み込んでいるが、技術の最前線についての知見がある著者らしさを、この部分で発揮するべきだった。現状ではページ数稼ぎにしか見えないのは残念である。
     
 ページ数が少ないうえに、レイアウトがスカスカで字数が少ないので、2時間もあれば読み終えることができる。生成AIの話題に乗り遅れた方が、出張のお供にするのが良さそうだ。

書籍情報

アフターChatGPT〜生成AIが変えた世界の生き残り方〜

山本康正、PHPビジネス新書、p.192、¥935

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。