横田英史の読書コーナー
病が分断するアメリカ〜公衆衛生と「自由」のジレンマ〜
平体由美、ちくま新書
2023.9.20 1:34 pm
タイトルから「病気が原因で分断された米国についての解説本」だと思い込んで購入したが、内容は少々異なっていた。副題「公衆衛生と『自由』のジレンマ」が本書の内容を的確に表している。筆者の主張は、米国では国民の健康維持のための公的取り組みである公衆衛生が十分に効果を上げておらず、新型コロナ禍におけるワクチン接種やマスク着用がその問題をあぶり出したというもの。
公衆衛生とは、(1)健康教育を行うこと、(2)行動制限を行うこと、(3)数を数え分析することだが、社会格差、情報格差、教育格差、地域格差、政治信条、人種、連邦政府と州政府の対立など米国の根深い問題がこれを阻む。さらには、専門家を胡散臭いと感じる反主知主義的な心情が問題を複雑にする。筆者は、具体的な事例を押さえながら一つずつ論考を加えるスタイルで、公衆衛生の切り口から見た「米国の今」に迫っている。
米国の分断は多くの分野で見られるが、公衆衛生における分断も極めて根深いことがよく分かる。マスクの着用を禁止する法律が存在し実際に適用されるなど、驚きのエピソードを多く取り上げる。米国社会に興味のある方に向く書である。
書籍情報
病が分断するアメリカ〜公衆衛生と「自由」のジレンマ〜
平体由美、ちくま新書、p.240、¥968

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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