横田英史の読書コーナー
The Work of the Future〜 AI 時代の「よい仕事」を創る〜
デヴィッド・オーター、デヴィッド・A・ミンデル、エリザベス・B・レイノルズ、月谷真紀・訳、慶應義塾大学出版会
2023.11.23 12:21 am
米MITが約50人の研究者で行った調査に基づき、今後の労働政策や医療政策、研究開投資政策の在るべき姿を描いた書。調査は保険、医療、物流・倉庫、製造業を対象に行い、テクノロジーの進歩が労働者の処遇にどのような影響を与えているかを明らかにした。医療制度や失業保険制度、産業政策などは日本とは状況が異なるが、データに基づいた議論は説得力があり、労働者の教育・訓練やイノベーション促進のための政策など役立つ提案も少なくない。
著者は大規模調査に基づき、IT化の進展や機械化などによって生産性向上が向上し多数の職が生まれたものの、労働者に適切に配分されなかった。中技能の労働者の職が失われ、人種間の所得や雇用の格差が拡大した。賃金や労働環境など雇用の質が大きく悪化した。米国の労働市場では高学歴・高技術の労働者に富が集中し、それ以外の労働者の仕事が低賃金で雇用保障のないものになった。米国の労働政策は、ギグワーカーをはじめとする非正規社員の増加といった労働環境の変化に対応できていないとする。
イノベーションが産業界に浸透し、現場に定着するには30〜40年の時間が必要である。その間に労働者にはスキルを高める余裕が生まれる。国家レベルでは、法律や政策、規範、組織、企業を現代化することで労働市場を刷新する必要があると語る。失業保険制度、医療システム、最低賃金など改善すべき対象は幅広い。
書籍情報
The Work of the Future〜 AI 時代の「よい仕事」を創る〜
デヴィッド・オーター、デヴィッド・A・ミンデル、エリザベス・B・レイノルズ、月谷真紀・訳、慶應義塾大学出版会、p.248、¥2860

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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