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横田英史の読書コーナー

世界は経営でできている

岩尾俊兵、講談社現代新書

2024.5.24  8:37 am

 仕事・家庭・勉強・恋愛・孤独・老後など身近な15の話題を取り上げ、それぞれを経営の課題と捉え、首尾よく切り抜ける方策を探った書。筆者は、誰もが人生を経営しているのに、それに気づく人は少ないと主張する。誤った経営概念によって、人生に不条理と不合理をもたらしている。誰もが本来の経営概念に立ち返らないと、個人も社会も豊かになれないと主張する。
      
 15という数字にこだわるあまり、内容が希薄化しているのが残念である。経営課題に対する対策も平凡で、刮目するべき内容に乏しい。気軽・手軽に読めるエッセイだが、筆者が「令和冷笑体」と呼ぶ文体が台無しにしている。軽佻浮薄感を必要以上に醸し出し、せっかく良いことを説いているのに、訴求力を弱めている。筆者の思いが空回りしている印象が強い。

書籍情報

世界は経営でできている

岩尾俊兵、講談社現代新書、p.‎224、¥990

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。