横田英史の読書コーナー
ヨーロッパ史 〜拡大と統合の力学〜
大月康弘、岩波新書
2024.6.20 8:46 am
米国や中国、ロシアの圧力のなかでも、しぶとく、したたかに振る舞うヨーロッパはどのような経緯で誕生したのか。日本はヨーロッパの域にどこまで迫れるのか。評者は長年興味を持っている問題意識である。そのヒントを求めて購入した書。本書は各国史や地域史ではない、ヨーロッパを俯瞰した史観を提供する。本書から回答が得られる訳ではないが、ヨーロッパをザクッと知ることができる書である。
ヨーロッパ世界には「ローマ帝国」と「キリスト教」の要素が織り込まれている。4〜6世紀の古代末期に融合し、ヨーロッパの基礎を築いたという。本書が挙げるキーワードが、黙示的文学、終末意識、ローマ帝国、キルスト教、ビザンツ帝国である。例えばペスト禍、干ばつ、頻発する大地震が終末論思想を強く意識する社会を生み、終末と救済の意識が高まった。
書籍情報
ヨーロッパ史 〜拡大と統合の力学〜
大月康弘、岩波新書、p.272、¥1100
横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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