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横田英史の読書コーナー

未来への共創〜Co-innovating tomorrow 横河電機が挑んだリブランディングの軌跡〜

横河電機ブランドブック制作委員会、日経BP

2024.7.11  10:36 am

 100周年を超える歴史をもつ横河電機のブランド再構築プロジェクトを体系的に紹介した書。横河電機といえばプラント制御や計測などで知られたB2B企業で、良く言えば質実剛健、悪く言えば地味で古臭いといったイメージを持つ方も少なくないだろ。流行りの言葉を使えばJTC(Japanese Traditional Company)の代表格の1社と言える。その横河電機が、何(What)を目的に、なぜ(Why)、誰(Who)が、どのように(How)、ブランド再構築に取り組んだかを解説する。
      
 本書は大きく5章で構成する。ブランド再構築のキッカケに始まり、初動で行ったコーポレート・ブランド・スローガン「Co-innovating tomorrow」の作成、社外における認知度向上と社内への啓蒙活動、100年を超える歴史の中で増え続けた製品名やサービス名の整理・統一、社員を巻き込んだパーパスの策定と進む。ちなみに著者は、実際にブランド再構築に取り組んだメンバーたち。その点は差し引いて評価する必要はあるが、内容は具体的なので、B2B企業のブランディングに興味のある方に向く書である。
      
 判型はA4の横幅を拡大した大判だが、写真を多用し、日本語と英語を併記する体裁なので、あっという間に読み終えることができる。評者は企業ブランディングのパネルディスカッション(パネリストの一人が本書で登場する阿部剛士 常務執行役員兼マーケティング本部長)で活用するために新幹線で読んだが、新横浜から名古屋間で読み終えることができた。

書籍情報

未来への共創〜Co-innovating tomorrow 横河電機が挑んだリブランディングの軌跡〜

横河電機ブランドブック制作委員会、日経BP、p.104、¥2750

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。