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STマイクロエレクトロニクスが「複数のシリコン・テクノロジーを1チップに形成する技術」の歴史的業績で、権威あるIEEEマイルストーンを受賞

2021.6.7  4:57 pm

STマイクロエレクトロニクスが「複数のシリコン・テクノロジーを1チップに形成する技術」の歴史的業績で、権威あるIEEEマイルストーンを受賞

高パワー素子、高精度アナログ回路、これらを制御する複雑なデジタル・ロジック回路を1チップに集積する技術と、累計400億個のチップ出荷実績が認められ、IEEEマイルストーンを受賞

(2021年5月18日にジュネーブ(スイス)およびアグラテ(イタリア)で発表されたプレスリリースの抄訳です。)
STマイクロエレクトロニクスは、高集積シリコン・ゲート半導体プロセス技術における革新的な業績により、米国電気電子学会(IEEE: Institute of Electrical and Electronics Engineering)からIEEEマイルストーンを受賞したことを発表しました。STが開発したBCDプロセスは、バイポーラ・プロセスによる高精度アナログ・トランジスタ、CMOSプロセスによる高性能デジタル・スイッチング・トランジスタ、および高電力DMOSトランジスタを1チップに集積する技術で、高電力が要求される複雑なアプリケーションに貢献します。同技術は、長年にわたりハード・ディスク・ドライブやプリンタなどの最終製品、および幅広い車載アプリケーションにおいて革新的な開発を可能にしてきました。
   
STのアグラテ工場で開催されオンラインで中継された受賞式典では、IEEE Italy Section Humanitarian Activities Committeeのコーディネータ 兼 元SecretaryであるGiambattista Gruosso氏と、STの社長 兼 最高経営責任者(CEO)であるJean-Marc Cheryにより、IEEEマイルストーンの受賞に伴い贈呈されたプレートが公開されました。
このプレートは、複数のシリコン・ゲートによるマルチパワーBCD技術の開発が行われたSTのアグラテ工場(アグラテ・ブリアンツァ、イタリア)およびカステレット工場(コルナレード、ミラン、イタリア)の正面玄関に展示されます。また、プレートには以下の文章が表記されています。
   
SGS(現STマイクロエレクトロニクス)は、BCD(バイポーラ、CMOS、およびDMOS)トランジスタを1チップに集積し、複雑かつ高電力が要求されるアプリケーションに貢献する高集積シリコン・ゲート・プロセス技術を初めて開発しました。BCDプロセスを活用した初の高集積回路である「L6202」では、動作周波数300kHz、最大60V / 5A(ピーク電流)の制御を実現。その後、同プロセスは車載機器やコンピュータ、産業機器などで幅広く採用され、パワー、アナログ、デジタル信号処理の集積化における設計の柔軟性と信頼性の向上に貢献しました。
    
IEEEマイルストーンは、独自の製品やサービス、独創的な論文や特許など、人類の利益に貢献する革新的かつ卓越した技術を称えるために1983年に創設されました。認定の対象となるのは、IEEEが活動する技術領域において開発から25年以上が経過し、少なくとも地域的に影響を与えた重要な技術成果です。現在、世界各地域で220の技術が認定され、IEEEマイルストーンを受賞しています。
   
STは、幅広い電子機器に対応できる信頼性に優れた技術の実現を目的として、1980年代初頭に異種のトランジスタとダイオードを1チップに集積する開発を開始しました。幅広い市場の顧客ニーズに対応するため、ムーアの法則に沿った高集積化が可能なデジタル回路による制御と、数百ワットの出力を両立させることを目的としました。また、高精度アナログ機能のサポートや、ヒートシンクを不要にするための低消費電力化にも焦点が当てられていました。
   
このような取り組みから、新しい高集積シリコン・ゲート技術であるBCDプロセスが誕生しました。BCDプロセスは、ダイオード、バイポーラ・リニア回路、複雑なCMOSロジック回路、複数のDMOSパワー回路、および複雑な配線技術を1チップに集積する技術です。同プロセスが活用された最初の製品は、動作電圧60V、スイッチング周波数300kHz、出力1.5A(実効値電流)のフル・ブリッジ・モータ・ドライバ「L6202」で、目標としていた設計要件をすべて満たすものでした。この信頼性に優れたBCDプロセス技術により、パワー、アナログ、およびデジタル信号処理を1チップに集積できるようになりました。
   
STはBCDプロセスを発表して以来、シリコン・ゲートによるマルチパワーBCDを採用した製品をすでに400億個以上出荷しており、まもなく第10世代の技術を製品化する予定です。同技術は、ヨーロッパとアジアのフロントエンドおよびバックエンド製造工場において採用されており、車載用のサブシステム、スマートフォン、生活家電、オーディオ・アンプ、ハード・ディスク、電源、プリンタ、ピコプロジェクタ、照明、医療機器、モータ、モデム、ディスプレイなど、あらゆる市場の製品に幅広く使用されています。
   
STの社長 兼 最高経営責任者(CEO)であるJean-Marc Cheryは、次のようにコメントしています。
「1980年代初頭、高精度のバイポーラ・トランジスタ、CMOSによるデジタル制御回路、DMOSによる高パワー回路の集積化を実現することは、きわめて革新的なものでした。当時、まったく新しい概念であった「スマート・パワー」の価値や将来性を先見的に認識していた組織、およびきわめて優れた技術チームでなければ実現できなかったでしょう。STは、BCDプロセスの開発以降、35年間で9世代にわたり、500万枚のウェハを製造し、400億個のチップを出荷しています。昨年の出荷数は約30億個でした。STによるBCDプロセスの発明が人類の発展に貢献した技術としてIEEEマイルストーンに認定され、プレートを贈呈されたことを誇りに思います。」
   
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