SOLUTION
STマイクロエレクトロニクス、デュアルコアによる高い性能と豊富な機能を組み合わせた新しいSTM32H7マイコンを発表
2019.6.11 1:31 pm
汎用32bitマイコンとして業界最高の性能を実現
STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、デュアルコアによる優れた性能と省電力機能およびサイバー・セキュリティ保護機能を持ち、Arm® Cortex®-M搭載の汎用32bitマイクロコントローラ(マイコン)として業界最高の性能を実現した新しいSTM32H7*マイコンを発表しました。
この新しいデュアルコア・マイコンは、Cortex-Mプロセッサの中で最高の性能を持つCortex-M7(最高動作周波数480MHz)に加えて、Cortex-M4(最高動作周波数240MHz)を搭載しています。STの優れたアーキテクチャ、効率的なL1キャッシュ、Flashメモリ・アクセラレータ(ARTアクセラレータ™)が組み込まれており、内蔵Flashメモリからの命令実行で1327 DMIPSおよび3224 CoreMark™(1) の性能を記録しています。また、STのグラフィック・アクセラレータであるChrom-ART Accelerator™により、グラフィック性能もさらに向上しています。電力効率を最大化させるため、各プロセッサは専用の電源ドメインで動作し、動作させる必要がないときには個別に電源をオフにできます。
開発者は、この2つのプロセッサを柔軟に活用することで、既存アプリケーションを簡単にアップグレードすることができます。例えば、これまでシングル・コアのCortex-M4搭載マイコンで制御していたモータ制御などのアプリケーションにおいて、従来のコードをSTM32H7デュアルコア・マイコンのCortex-M4に移行し、新たにGUIをCortex-M7で動作させることで、洗練されたユーザ・インタフェースを追加することができます。または、ニューラル・ネットワーク、チェックサム、DSPフィルタリング、オーディオ・コーデックといった高負荷処理を分散して負荷を軽減し、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることも可能です。
また、デュアルコア・アーキテクチャにより、ユーザ・インタフェースのコードを、リアルタイムの制御機能や通信機能から切り離して開発できるため、コード開発の簡略化と開発期間の短縮も実現できます。
STM32H7マイコンには暗号鍵がプリインストールされており、セキュア・ファームウェア・インストール(SFI)などの専用セキュリティ・サービスも組み込まれています。SFIにより、標準製品を世界中どこからでも購入できるようになるだけでなく、暗号化されたファームウェアを外部のソフトウェア・メーカーに供給でき、暗号化されていないコードが公開されることもありません。さらに、セキュア・ブートおよびセキュア・ファームウェア・アップデート(SB-SFU)機能を備えているため、OTA(Over the Air:無線通信)によるアップグレードやパッチも保護されます。
STM32H7デュアルコア・マイコンは、Flashメモリ(最大2MB)とSRAM(最大1MB)を内蔵しているため、内蔵Flashメモリを持たないプロセッサよりも、リアルタイム性能やAI処理が求められる産業 / コンスーマ / ヘルスケア機器の高性能化、小型化および設計簡略化に貢献します。また、Cortex-M7プロセッサのL1キャッシュとパラレル / シリアル・メモリ・インタフェースにより、外付けメモリとの高速通信を実現できます。
その他の先進的な機能には、安全性向上に向けたFlashメモリおよびRAM用のエラー修正コード(ECC)、複数の先進的な16bit A/Dコンバータ、過酷な環境でも使用可能な動作温度範囲(最大125°C)、イーサネット・コントローラと複数のFD-CANコントローラによる通信ゲートウェイ機能、高精度の波形を生成するSTによる最新の高分解能タイマなどが含まれています。
STは、STM32Cube開発エコシステムにSTM32CubeH7ファームウェア・パッケージを追加しています。このファームウェア・パッケージには、TouchGFXおよびSTemWinグラフィカル・スタック・ライブラリをベースとしたグラフィック・ソリューションなどのアプリケーション・ソース・コードが含まれます。さらに、専用のEVALボード、Discovery Kit、およびSTM32 Nucleo開発ボードも用意されています。開発者は、ST-MC-SUITE(モータ制御ツールキット)、STM32Cube.AI(組込みAIツールキット)、STM32CubeMX、STM32CubeProgrammer、および認定パートナーによるSTM32用ソリューションなど、STM32Cube開発環境の標準的なツールやソリューションをすべて利用することができます。
STM32H7デュアルコア・マイコンは量産が開始され、現在サンプル出荷中です。WLCSPをはじめとする幅広いパッケージ・オプションが用意されており、単価は大量購入時に約8.19ドルです。バリュー・ラインを含むSTM32H7シングルコア・マイコンも現在入手可能で、大量購入時の単価は、約3.39ドルです。
詳細についてはウェブサイトをご覧ください。
( https://www.st.com/ja/microcontrollers-microprocessors/stm32h7-series.html?icmp=tt11454_gl_pron_may2019 )
また、ブログ記事もご覧いただけます。
( https://blog.st.com/dual-core-stm32h7 )
(1)CoreMark:組込みCPUコアの性能比較に使用されるEEMBCによる業界標準のベンチマーク
■STマイクロエレクトロニクス株式会社
http://www.st.com