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ザイリンクスとコンチネンタルが協業、業界初となる量産対応の自動運転用4Dイメージングレーダーを開発
2020.9.24 4:56 pm
ザイリンクス社(カリフォルニア州サンノゼ)と コンチネンタル(ドイツ ハノーバー)は9月2日(米国時間)、コンチネンタルの新しいアドバンスト レーダー センサー(ARS) 540に、Zynq® UltraScale+™ MPSoC プラットフォームを搭載し、オートモーティブ業界初の実稼働可能な 4D イメージング レーダーを開発することを発表した。この協業により、ARS540を搭載して新しく製造される車でSAE J3016レベル2の機能が実現し、レベル5の自動運転システムの実用化への道が開かれる。
4Dイメージング レーダーは、物体の位置を距離、方位角、仰角、相対速度で判定するため、距離、速度と方位角のみによる従来の車載レーダーシステムでは得られない詳細な走行環境情報を提供できる。コンチネンタルのARS540は、高解像度と300メートルのレンジを誇る、プレミアムな長距離4Dイメージング レーダーである。±60°の広い視野により、運転中にMHT(Multiple Hypothesis Tracking・航跡型)方式による高精度な予測が可能になる。これは、橋の下の渋滞を検知するなど、複雑な運転シナリオを管理する上で不可欠な要素である。
さらに、ARS540システムは水平および垂直解像度が高いため、道路上にある潜在的に危険な物体を検知し、適切に対応できる。人間のドライバーが車両制御を監視する SAE レベル2から、さらに完全自動運転のレベル5まで拡張でき、ARS540はセンサーのスケーラブルな使用法を示す。
コンチネンタルでレーダー製品群プログラムマネジメントを統括するノーバート・ハマーシュミット(Norbert Hammerschmidt)氏は、次のように述べている。
「ザイリンクスのZynq UltraScale+ MPSoCプラットフォームは、当社がARS540を実現するために必要な高い性能と高度なDSP機能を備えています。さらに、高い適応性と市場トップクラスの多様なネットワーク インターフェースに対応しており、幅広いアンテナ データを極めて高い総転送速度で扱うことができます。最近、欧州および米国の大手OEM会社でARS540の採用が決定しました。ほかにも、世界中のOEM企業で採用が検討されています。私たちは、ザイリンクスと長年にわたるパートナーシップを継続し、そして今、命を守る可能性をもつ技術を市場に提供できることを大変誇りに思っています」
ザイリンクスのオートモーティブ向け(XA)Zynq UltraScale+ MPSoCは適応性に優れたプラットフォームであり、コンチネンタルの4Dイメージング レーダーが複数のセンサー プラットフォーム構成に依存せず、OEMの仕様に適応できるようにする。デバイスのプログラマブル ロジック内での並列処理は、ARS540の4Dセンシングに不可欠な理想的な性能と、完全に独立していながら同時実行可能な処理パイプラインを実現する。また、豊富なデジタル信号処理(DSP)スライスにより、レーダー センサーからの入力データのリアルタイム処理を高速化する。
Yole Developpement(Yole)のRFデバイス&テクノロジ部門でテクノロジ&市場アナリストを務めるセドリック・マラキン(Cedric Malaquin)氏は、次のように述べている。
「4Dイメージング レーダーは、素晴らしいレンジ、視野、認識精度で、レベル2~5の開発者がより安全な運転環境を作り出すために極めて重要なセンサーです。4Dイメージング レーダーは、最初に高級車やロボタクシーへの採用が見込まれます。2020~2025年の年平均成長率(CAGR)は124%、市場規模は5億5000万米ドルを超えると予想しています。ザイリンクスとコンチネンタルという、業界をリードする革新的な2社の企業が提携して新しいセンシング方式を開発することは、素晴らしいチャンスです」 (1)
ザイリンクスのオートモーティブ事業部シニア ディレクターであるウィラード・トゥ(Willard Tu)は、次のように述べている。
「業界初となる量産対応の4Dイメージング レーダーにザイリンクスの技術が搭載されることを非常に嬉しく思います。コンチネンタルのARS540の高度な機能は、先進的な技術を自家用車にもたらし、自動運転の普及を加速させるでしょう。コンチネンタルのレーダーにおける伝統とザイリンクスの適応型シリコンにおけるレガシーにより、極めてパワフルな製品が実現しました」
(1) 出典: Status of the Radar Industry report - Sensing and Computing for ADAS Vehicle report, Yole Developpement (Yole), 2020