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マイクロンとタタ、クラウドベースの仮想SIMでIoT実装を加速

2020.10.28  6:30 pm

信頼性の高いエッジツークラウドのオンボーディングにより、グローバルのセルラー接続に柔軟性を実現

(2020年10月27日米国アイダホ州ボイシ、インド・ムンバイ発)
マイクロン・テクノロジーとタタ・コミュニケーションズは本日、IoTデバイスのグローバルレベルでの大規模な実装を簡素化し、加速する世界規模のセルラー対応接続ソリューションを共同で構築すると発表しました。このソリューションは、世界初のクラウドベースの組み込み型加入者IDモジュール(eSIM)である新開発の仮想SIMで動作します。
これにより、従来の物理SIMカードに代わる柔軟でスケーラブルな選択肢が誕生することになります。クラウドベースのeSIMは、業界初のシリコンベースのエッジデバイス向けサービスとしてのセキュリティ(SaaS)プラットフォームであるマイクロン Authenta™ Key Management Service (KMS)によって実現されます。
  
このテクノロジーにより、タタ MOVE(TM)グローバルIoTソリューションは、200カ国の地域にまたがってコネクテッドIoTデバイスをクラウドサービスにゼロタッチでオンボーディングするための包括的なエンドツーエンドソリューションになります。このソリューションは、拡大するIoTサービスのエコシステムにイノベーションをもたらし、2026年までに売上は約3倍の4,660億ドルになると予測されています(ABI Research, IoT Market Tracker - Worldwide, 2Q 2020)。両社は、2021年発売予定のこのソリューションのデモを、マイクロン社とタタ社のオンラインIoTセキュリティ カンファレンスにおいて本日から公開する予定です。
  
タタの最高戦略責任者であるトライ・ファム氏は次のように述べています。
「私たちが今日体験しているのは未知のビジネス領域であり、企業は俊敏にデジタルファーストかつゼロタッチのテクノロジーやアプリケーションを採用することが求められています。IoTソリューションは、企業の効率性と生産性を向上させるだけではなく、新たな機会とイノベーションをもたらし、新たなレベルの成長を可能にします」
  
ファム氏はさらに次のように補足しています。「しかしながら、サイバーセキュリティやシームレスな統合、信頼性が高く安定した接続性、グローバルカバレッジは、依然としてグローバル企業の採用を阻む大きな障壁であり続けています。マイクロンと手を組み、エッジの接続性とセキュリティを再考することで、私たちはIoT実装を加速し、簡素化する新たなパラダイムを構築したいと考えています」
  
業界予測では、2020年までに実装されるIoTデバイスの数は500億台にのぼると予想されていましたが、現実に実装されたIoTデバイスは90億台であり、予想を大きく下回っています。この数字の開きは、セルラー対応の接続性とサイバーセキュリティに関する課題を大幅に過小評価していたことに起因しており、このことがIoTの成長の妨げになっています。
  
距離、屋外性能、セキュリティ、グローバルインフラなどの面でセルラー接続はWi-Fiよりも大きな利点があるものの、ABI Researchは2021年にはセルラーコネクテッドIoTデバイスは4億2,000万台にとどまると予測しており、これはIoT実装全体のほんのわずかに過ぎません(ABI Research、M2M Embedded Cellular Models, 3Q 2020)。このギャップは、物理SIMカードの管理や有期契約が国ごと、事業者ごとに異なるなど、世界規模のセルラー対応サービスの提供に複雑な物流が存在することが原因となっています。
  
こうした課題に正面から取り組むタタは、マイクロンのフラッシュベースのアイデンティティ プラットフォーム、Authenta KMSを土台にしたIoT向けクラウドeSIMを提供します。このソリューションでは、以下のことが実現されます。

  • 高スケーラブルのIoTセキュリティ:モバイルIDを確認するための物理SIMカードに代わって、Authenta KMSがクラウド上の仮想SIMにデバイスIDを提供するため、IoTサービスへの安全でゼロタッチのデバイス登録とオンボーディングを実現。
  • シームレスなグローバル接続:新しいSIMによって、いつでもどこでも安全なボーダーレスセルラー対応の接続性がIoTデバイスに提供されるため、物理SIMカードの複雑な管理、現地事業者との契約、ローミング料金が不要。これは、国境や近距離のWi-Fiネットワークに縛られず、遠隔地であっても携帯デバイスに広範囲でグローバルな接続性を求める産業やインフラ、自動車、航空、輸送・物流の各分野に特にメリットが大きい。また、本ソリューションによって企業はIoT実装戦略に5Gを取り込み、その低レイテンシー、大容量、データの高速性を活かすことが可能。
  • オンデマンドのセルラー契約:SIMテクノロジーへの独自のアプローチにより、現場で実際に接続が必要になる時にジャストインタイムでSIMを提供できるため、毎月のサービスへの加入が不要。このジャストインタイムの提供により、出荷前にサービス契約のアクティベーションが必要になる物理SIMカードと比較して、取引企業側の資本運用支出の削減にも貢献。
  • 従量制の柔軟性:タタのMOVE™プラットフォームは、月単位の有期契約ではなく、従量制のサービスとなるため、Wi-Fiとモバイルネットワークを組み合わせるなど、常時セルラー対応の接続を必要としない利用者にとって特にメリットがある。