SOLUTION
CEVAが屋内用自律型ロボット向け高精度自律航法ソフトウェア・ソリューション、MotionEngine™ Scoutを発表
2021.3.29 5:49 pm
従来、屋内用ロボットのナビゲーションには、カメラやLiDARによる高コストのシステムが必要でしたが、これに取って代わるソリューションとして、光学センサー、IMUセンサー、ホイール・エンコーダーのセンサー・データを融合し、ロバスト性に優れた高精度の自律航法ソフトウェアで低コスト化を実現します。
CEVA,Inc.は本日、ロボット掃除機や産業・商業用途向けの自律走行搬送ロボット(AMR)など、屋内用ロボットに搭載されるインテリジェント・ナビゲーション・システム向けの高精度自律航法ソフトウェア・ソリューション「ヒルクレスト・ラボMotionEngine™ Scout」を発表しました。
MotionEngine Scoutは、ナビゲーションに高コストのカメラやLiDARを使用することなく、屋内用自律型ロボットの精密測位を可能にします。ABIリサーチによれば、屋内用自律型ロボット市場は、今後20%年間に年平均成長率(CAGR)5%の成長が見込まれています。MotionEngine Scoutは、センサーやプロセッサーの種類を問わない組み込み型ソフトウェア・ソリューションで、ロボットに搭載されたオプティカル・フロー・センサー、ホイール・エンコーダー、IMU(慣性計測装置)から取得する計測データを融合し、これを基に、個々のセンサーに誤りがあっても高い精度とロバスト性(頑健性)を維持した自律航法を実現します。実際、MotionEngine Scoutは、ビニールやタイル、多種多様なカーペットといった床材表面の違いなど、難易度の高い条件下で生じる軌跡誤差を従来の5分の1に抑えています。
CEVAのセンサー・フュージョン事業部バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャーのChad Lucienは、次のように述べています。
「当社のMotionEngine Scoutは、屋内用自律型ロボットの開発を手がけるOEMメーカー各社にとって悩みの種だったコスト面や技術面の壁を打ち破ります。当社は、ロボット・ナビゲーションやセンサー・フュージョン、キャリブレーション、センサー・アナリティクスの各分野で豊富な経験があり、ここから生まれた高精度自律航法ソフトウェア・ソリューションは、カメラやLiDARを使ったシステムを補完・代替することが可能です。MotionEngineScoutは、稼働環境をインテリジェントに走行できる新次元の屋内用ロボットの開発に道を開き、OEMメーカーにとっては、エンドユーザーのニーズに応える魅力的な価格帯を実現できます」
MotionEngine Scoutは、IMUやオプティカル・フロー・センサー、ホイール・エンコーダーのインターフェイスです。統合センサー出力と統一的なロボット姿勢情報(3次元空間での位置・方位を含む)のデータを生成する機能が単一ソフトウェア・パッケージで可能なため、ロボット系のOEMメーカーでは、組み込みシステム開発のスケジュールを簡素化・迅速化できます。MotionEngine ScoutはSTMicroelectronics、Bosch-Sensortec、TDK InvenSenseなど、主要サプライヤーが提供する幅広い商用IMUセンサーをサポートしており、OEMメーカーにとってはサプライチェーンの自由度が高く、供給不足のリスクを抑えつつ、コストと性能の兼ね合いからさまざまな選択肢を検討できます。
不可欠なオプティカル・フロー・センサーについては、PixArtと提携し、同社のデュアル光源光学トラッキング・センサーのPAA5101を搭載しており、開発作業の簡素化や製品化期間の短縮に寄与します。
PixArt Imaging USAの戦略マーケティング担当ディレクター、Charles Chong氏は次のように述べています。
「CEVAには、屋内用ロボットのナビゲーションに関して独自のセンサー・フュージョンのノウハウがあり、当社の光学トラッキング・センサーの専門技術と理想的な補完関係にあります。このたびCEVAと提携し、魅力ある成長市場のニーズにお応えすることになり、大変うれしく思います。当社のPAA5101センサーとCEVAのMotionEngine Scoutソフトウェアを組み合わせることで、センサーやレンズをカスタマイズする必要もなく、安定した高性能ソリューションが実現します。この結果、全体として必要な部品数が抑えられ、設計業務が簡素化されます」
CEVAでは、屋内用自律型ロボット向けに、ソフトウェアのMotionEngine Robotics、センサー・ハブのFSP200、SiP(システム・イン・パッケージ)のBNO086、IMU/AHRSモジュールのFSM300など、IMUベースのソリューションを取り揃えており、今回のMotionEngine Scoutの登場で、センサー製品ラインがさらに拡充されます。また、CEVAは、通信用のRivieraWaves Bluetooth/Wi-Fiプラットフォーム、複数のセンサー(カメラ、LiDAR、IMUなど)からのデータ処理のワークロードを扱えるセンサー・ハブ向けDSPアーキテクチャーのSensPro2など、自律型ロボットに必要となる補完的なIP製品も提供しています。
MotionEngine Scoutは、本日より評価版の提供が開始されます。
詳細については、https://www.ceva-dsp.com/product/motionengine/をご覧ください。