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STマイクロエレクトロニクスのSTM32WLマイコンがスマート農場に貢献

2021.10.8  1:36 pm

STマイクロエレクトロニクスのSTM32WLマイコンがスマート農場に貢献

低消費電力広域ネットワーク(LPWAN)のLoRaによる長距離無線通信が海南省(中国)のゴム農園の自動化に貢献(スマート農場で初の採用)

STマイクロエレクトロニクスは、システム・オン・チップ(SoC)として提供される世界初のLoRa®対応ワイヤレス・マイクロコントローラ(マイコン)「STM32WLE5」が、ゴムの樹液採取の自動化を専門とするCIHEVEA社の樹液採取ロボットに採用されたことを発表しました。同社が開発したロボットは、低消費電力ネットワークの使用により、ゴムの木からラテックスを採取する作業の自動化に変革をもたらします。CIHEVEA社は、海南(中国)にある同社のゴム農園に200,000本以上のゴムの木を所有しており、革新的なソリューションを使用した樹液採取の生産性向上および出荷量の増加に取り組んでいます。
    
CIHEVEA社のゴムの樹液採取ロボットに搭載されたSTM32WLE5マイコンは、高効率・低消費電力の通信ハブおよび制御センターとして機能します。
ロボットには、2つの高精度モータと温度、大気圧、湿度などの気象条件をモニタリングする環境センサも内蔵されています。STM32WLE5マイコンは、ロボットが木に固定された状態で、専用のLoRa®アプリケーション・ネットワーク・サーバを介してセンサのデータをメッシュ・ゲートウェイに送信します。サーバでは、農園内のロボットのモニタリング、テスト、デバッグ、調整が可能です。プリセットされた条件がすべて満たされると、STM32WLE5マイコンがゴム採取用のモータを作動させ、自動的に木に切り込みを入れます。
    
CIHEVEA社の新しい樹液採取ロボットは、コスト・パフォーマンスと効率に優れたSTM32WLE5マイコンとLoRaネットワークを活用することで、ラテックスの収穫量を2〜3倍に増加させると共に、木へのダメージを最小限に抑えることで生産寿命の延長に貢献します。また、困難かつ危険な樹液採取を自動化することで、労働上の課題解決にも貢献します。
     
STM32WLE5は、超低消費電力かつ複数の変調方式をサポートするワイヤレス・マイコンで、Arm® Cortex-M4(最大動作周波数48MHz)、長距離通信が可能なSub-GHz無線、STの実績あるペリフェラルが搭載されています。小型パッケージ(UFBGA、5 x 5mm)で優れた性能を提供し、コスト・パフォーマンスにも優れています。また、スマート農場における堅牢性および性能の要件を満たすことができます。STM32WLExマイコンは、LoRa®、(G)FSK、(G)MSK、およびBPSK変調方式をサポートするオープン・プラットフォームです。
     
CIHEVEA社の副会長であるXU Zhen Kun氏は、次のようにコメントしています。
「完全に自動化されたインテリジェントな樹液採取システムは、ゴム業界に革新をもたらします。STM32WLE5マイコンが提供するプラットフォームと低消費電力のLoRa無線通信により、スマートなゴムの樹液採取システムが新たなゴム農園の形態を生み出します。また、重労働かつ非効率で、環境汚染につながる従来の生産方式から脱却することができると共に、環境保護や高効率化、デジタル・トランスフォーメーションに向けた新たな時代をけん引していくでしょう。」
    
STのアジア・パシフィック地区バイスプレジデントで、マイクロコントローラ & デジタル製品事業部のマーケティング / アプリケーション、IoT / AIコンピテンス・センターおよびデジタル・マーケティングを統括するArnaud Julienneは、次のようにコメントしています。
「ゴムの木は、産業、交通、農業において広く使用される重要な材料を収穫できる持続可能な資源である一方、樹液採取の効率向上とテックスの収穫量増加が生産者にとって長年の課題でした。STM32WLE5マイコンとLoRaネットワークはこの課題の解決に最適なソリューションを提供します。また、ネットワーク接続、センシング、パワー・マネージメント、およびモータ制御におけるST独自の広範な製品・ソリューションのポートフォリオは、農産物トラッキングや灌がいシステム、トラクター、畜産用位置および生体情報モニタなど、スマート農場のさまざまなアプリケーションに適しています」。

STマイクロエレクトロニクスのSTM32WLマイコンがスマート農場に貢献

詳細については、ブログ記事をご覧ください。
https://blog.st.com/rubber-tapping-robot/