SOLUTION
NXPがTSNスイッチを搭載したマルチプロトコル対応 i.MX RTクロスオーバーMCUで産業用IoT通信を一元化
2022.5.13 4:46 pm
NXP SemiconductorsはギガビットTSN(Time-Sensitive Networking)スイッチを搭載した初のクロスオーバーMCU「i.MX RT1180」を発表しました。この新製品は、タイム・センシティブ通信と産業用リアルタイム通信の両方をサポートすることで、既存の産業システムと新しいインダストリー4.0システム間の通信ギャップを埋めることができます。また、i.MX RT1180はクロスオーバーMCUとして初めてEdgeLock®セキュア・エンクレーブを搭載します。自律的で自己完結型の事前構成済みセキュリティ・サブシステムにより、産業用IoTアプリケーションにおけるシステムワイドのセキュリティの実現を容易にします。
産業機器の環境はインダストリー4.0に向けて進化していますが、ネットワーク・プロトコルの混在が深刻な問題となっています。そのため、タイム・センシティブ通信と産業用リアルタイム通信の双方をカバーするシームレスな産業用コネクティビティの実現が困難になっています。
その問題を解決するため、i.MX RT1180は必要なマルチプロトコル・コネクティビティを提供し、工場のあらゆるエッジにおいて一元化されたセキュアな産業用IoT通信環境を実現します。また、統合されたEdgeLockセキュア・エンクレーブにより、セキュア・ブートやデバッグ認証、デバイス・ライフサイクルの安全な管理、先進的な鍵管理、改ざん監視など、複雑なネットワーク・システムにおける信頼の基点(Root of Trust)も提供します。
i.MX RT1180は10x10mm BGAをはじめとするパッケージ・オプションが用意されており、産業用リアルタイム・ネットワーク対応デバイスの中で最も小型であるため、I/O管理、モーター制御、小型モーション制御、ゲートウェイ・アプリケーションなど、幅広い産業用途へのTSN機能や産業ネットワーク機能の実装が容易になります。また、i.MX RT1180は統合ソリューションとしてだけでなく、ネットワークのコンパニオン・チップとしても機能し、要求されるすべての産業ネットワークのコネクティビティをホスト・プロセッサに提供することも可能です。
ホストとはスケーラブルなコネクティビティで接続され、オンボードPHYを使わずに直接接続することで追加コストと電力を抑えつつ、シームレスなGbps通信まで拡張することができます。さらに、i.MX RT1180は高帯域とリアルタイム制御データの両方をサポートするイーサネットTSNが普及している車載コネクティビティ・アプリケーションにも最適です。そのため、i.MX RT1180を各種車載ECU間のインテリジェントなスイッチとして利用することも可能です。
NXPの副社長 兼 インダストリアル・エッジ・プロセッシング担当ゼネラル・マネージャーのJeff Steinheiderは次のようにコメントしています。
「産業分野と車載分野のお客様はネットワーク機能の高度化を目指しており、処理能力とタイム・センシティブなネットワークのトラフィック管理機能の両立を可能にするソリューションを求めています。i.MX RT1180はTSNスイッチとEdgeLockセキュア・エンクレーブを搭載したオールインワン・ソリューションで、車載と産業用IoTの両アプリケーションに対応し、タイム・センシティブなトラフィックとベストエフォート・トラフィックの両方を処理して、先進的なリアルタイム通信機能を持つセキュアな自動システムを実現します。」
高性能なi.MX RT1180は産業拡張グレードの動作温度範囲(-40⁰C~+125⁰C)まで対応し、800 MHz Arm® Cortex®-M7と240MHz Cortex-M33のデュアルコア・アーキテクチャによる設計の柔軟性を提供します。250mWのユースケースを含む電力効率に優れたデザインとデバイスに内蔵されたPMICにより、多くの産業アプリケーションに不可欠な高いレベルのエネルギー効率を提供すると同時に、基板設計を容易にし、コストを低減します。i.MX RT1180は最大5つのG-bitポートを搭載しており、最新のTSN規格と、EtherCAT、Profinet、Ethernet/IP、CC-Link IE、HSRなどの複数の産業用リアルタイム・ネットワーク・プロトコルをサポートします。また、i.MX RT1180は、OEM企業がISA/IEC 62443-4-1/2に準拠した機器を容易に開発できるよう設計されています。
詳細 NXP.com/iMXRT1180