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MetalenzとSTマイクロエレクトロニクスがコンスーマ機器向けに世界初の光学メタサーフェス技術発表

2022.6.27  5:53 pm

MetalenzとSTマイクロエレクトロニクスがコンスーマ機器向けに世界初の光学メタサーフェス技術発表

STとの協力によりMetalenzのメタサーフェス光学素子を市場に導入し、革新的な光学技術を機器に搭載

メタサーフェス光学素子の商用化を目的とした初の企業であるMetalenzとSTマイクロエレクトロニクスは、STの新しいdToF(ダイレクトTime-of-Flight)測距センサ「VL53L8」に、市場投入が高く期待されていたメタサーフェス光学素子を採用したことを発表しました。この光学素子は、2021年6月に公表された両社のパートナーシップを通じて開発されました。
      
ハーバード大学発のベンチャー企業であるMetalenzのメタサーフェス技術は、複数素子を組み合わせた従来の複雑なレンズを単一の光学素子に置き換えるとともに、さらなる機能の追加を可能にします。3Dセンサ・モジュールのリーディング・サプライヤであるSTのToF測距センサ「VL53L8」には、このメタサーフェス光学素子が内蔵されています。これにより、さまざまなコンスーマ機器、車載機器および産業機器に性能、消費電力、サイズ、およびコストにおけるメリットを提供します。今回の協力により、メタサーフェス技術が初めて商用化され、コンスーマ機器向け製品に採用されました。
       
モールドによって製造される従来の曲面レンズと異なり、Metalenzの新しい光学素子は完全にフラットです。フラットなメタサーフェス光学素子は現在、STの前工程工場において、初めてシリコン・ウェハ上に製造されています。
メタサーフェス光学素子は単層でより多くの光を集めるとともに、複数の機能を提供することができます。これにより、スマートフォンなどの機器を小型化しつつ、新しいセンシング方式を実現可能です。Metalenzのフラット・レンズ技術は、STのFlightSense(TM) ToF測距センサにおいて従来使用されていた光学素子にかわり、スマートフォン、ドローン、ロボット、自動車など、さまざまなアプリケーションに対応します。
FlightSense ToF測距センサは、現在までに累積17億個以上出荷されています。

Metalenzの共同創業者 兼 最高経営責任者(CEO)であるRob Devlinは、次のようにコメントしています。
「10年以上にわたる基礎研究を経て、当社の光学素子が市場に導入され、メタサーフェス技術が初めて製品に採用されました。STの技術、製造における専門性、グローバルに展開された事業活動により、きわめて多くのユーザに革新的な製品を提供することができます。すでに当社のプラットフォーム技術を初めて採用したアプリケーションの案件を複数獲得しています。また、現在は独自機能を中心とした全体的なシステム設計も進めています。当社のメタサーフェス光学素子は、モバイル機器に搭載可能な小型フォーム・ファクタと競争力のある価格により、革新的な新市場と新しいセンシング機能を実現します。」
        
STは、ToF測距センサ技術のリーダーであり、イノベータです。光の速度を利用して高精度の測距を行うToF測距センサは、299,792,458メートル / 秒で移動する光子が、放射されてから対象物表面で反射して戻ってくるまでの時間を精確に測定します。STは、初のToF測距センサを発売して以来、スマートフォン・カメラにおける革新的なオートフォーカス機能の実現、およびユーザ検知機能やジェスチャ認識によるモバイル機器やPCのセキュリティおよび電力効率の向上に貢献してきました。
      
STのエグゼクティブ・バイスプレジデント 兼 イメージング・サブグループジェネラル・マネージャであるEric Aussedatは、次のようにコメントしています。
「Metalenzのメタサーフェス光学素子は、STの先進的な製造技術およびToF技術を完全に補完する革新的な技術です。メタサーフェス光学素子を採用した製品を導入することで、電力効率と光学性能の大幅な向上とセンサ・モジュールの小型化が可能となります。これにより、コンスーマ機器、産業機器、車載機器市場にさまざまなメリットを提供します。VL53L8は、3Dセンシングに代表される近赤外線波長を使用するアプリケーションを対象としています。顔認証やカメラのオートフォーカス機能、コンスーマ用LiDAR、AR/VRなど、深度マッピングが必要になるアプリケーションに最適です。」
        
MetalenzのIPとSTの製造技術を組み合わせることで、半導体産業が持つ優れた精度と精密性を活用して高精度で再現性に優れたメタサーフェス光学素子を実現することができます。このメタサーフェス光学素子は、高品質かつ低コストのレンズを大規模量産する上で、革新的な手法を実現します。
        
Metalenzについて
2016年に設立されたMetalenzは、メタサーフェス光学素子の商用化を目的とした最初の企業です。ハーバード大学のCapasso研究室で開発されたメタサーフェスに関する基本的なIPポートフォリオの世界的な独占ライセンスを保有するMetalenzは、さまざまな市場で使用される光学機器の簡略化・高性能化に貢献する革新的な技術で20以上の特許を取得しています。
Metalenzのメタサーフェス技術は、複雑で多様な機能を持つ光学性能を単一の半導体層で実現でき、光学素子の大量生産を半導体ファウンドリ、すなわちコンピュータ・チップのようにレンズを印刷で製造できる技術へと移行します。
Metalenzは、3M Ventures、Applied Ventures LLC、Intel Capital、M Ventures、TDK Ventures、Foothill Venturesなどの主要な投資企業から資金を調達し、2021年にステルスモードを終了しました。今回市場に導入されるMetalenzの光学素子は、2022年内に数多くのコンスーマ機器に搭載される予定です。
https://www.metalenz.com/
        
STマイクロエレクトロニクス
https://www.st.com