SOLUTION
STマイクロエレクトロニクスが低消費電力で既存製品から大きく向上した測距性能を持つ 次世代マルチゾーン対応ダイレクトToF測距センサ発表
2022.7.6 3:42 pm
革新的なメタサーフェス・レンズ技術、高性能・高効率レーザー、改良型オンチップ処理を集約
STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、スマートフォンのカメラ管理および拡張現実(AR) / 仮想現実(VR)に最適なFlightSense(TM) ToF(Time-of-Flight)測距センサ「VL53L8」を発表しました。
同製品は、多くの主要コンポーネントが大幅に強化されており、従来製品と比較して大きく向上した測距性能(あらゆる屋内ゾーンで最大4m)を実現しています。また、一般的な条件下での動作における消費電力が半減しています。
STのアナログ・MEMS(1)・センサ製品グループ エグゼクティブ・バイスプレジデント兼 イメージング・サブグループ ジェネラル・マネージャであるEric Aussedatは、次のようにコメントしています。
「STのToF技術は、きわめて多くの製品に採用されており、現在200種類以上のスマートフォンや、100種類以上のPC、プロジェクタ、およびロボット製品に搭載されています。VL53L8は、従来製品と比べてきわめて高い測距性能と電力効率を備えた革新的な製品です。革新的なメタサーフェス・レンズ技術と電力効率に優れたアーキテクチャにより、バッテリ充電回数の削減、カメラのオートフォーカス距離の拡張、およびシーン認識機能の強化などに貢献します。」
VL53L8は、Metalenz社との協力によって開発された世界初の光学メタサーフェス技術により、単層でより多くの光を光学システムに集めるとともに、複数の機能を提供することができます。そのため、スマートフォンなどの機器の小型化に貢献すると同時に、新たなセンシング方式を実現することができます。
VL53L8は、スマートフォンやタブレットの前面 / 背面カメラをはじめ、スマート・スピーカやAR / VR / MR機器などのパーソナル電子機器向けアクセサリに最適です。前面カメラ・アプリケーションには対象物の追跡やジェスチャ認識が含まれ、背面カメラ・アプリケーションには、レーザー・オートフォーカス、カメラ選択、タッチ・ツー・フォーカス、フラッシュ調光が含まれます。VL53L8は、低照度条件においてもこれらの機能に大きなメリットを提供します。
また、屋内外での検出やスマート・フォーカス・ブラケティング、コンスーマ用LiDARなど、深度マッピングが求められるアプリケーションにも最適です。
技術情報
VL53L8は、940nmの高出力VCSEL(2)光源、VCSELドライバを集積したシステム・オン・チップ・センサ、SPAD(3)の受光アレイ、低消費電力32bitマイクロコントローラを集積したセンサ・モジュールで、送信 / 受信開口部にメタサーフェス・レンズ技術を採用しています。「VL53L5」と同様に、16(4 x 4)または64(8 x 8)のマルチゾーン測距に対応し、安定した高精度の測距性能を実現します。
VL53L8は、VL53L5を含むSTの従来製品で実現されたイノベーションをさらに発展させた次世代のToF測距センサです。高効率の回折光学メタサーフェス・レンズ技術を採用しており、STのクロル工場(フランス、300mm工程)で製造されています。
前世代より高性能の新しいVCSELドライバに高効率VCSELを組み合わせているため、同等の条件でVL53L5から大きく向上した測距性能を達成、または消費電力を半減することができます。この性能は、同じ視野角と出力測距ゾーン(60fpsで4×4または15fpsで8×8)を維持したままで実現されています。単一のリフロー型コンポーネントで提供され、1.2Vおよび1.8VのI/O互換性を備えているとともに、ホスト・プロセッサに要求される負荷が従来製品と比べて大幅に軽減されています。これにより、簡単にシステム統合を行うことができます。
VL53L8は、STのすべてのFlightSense ToF測距センサと同様に、IEC 60825-1 Class 1認証を取得しています。先進的なレンズ取外し検出システムを備えているため、コンスーマ機器において目の安全を確保することができます。
(1) Micro-Electro-Mechanical Systems(MEMS):微小電気機械システム
(2) Vertical Cavity Surface Emission Laser(VCSEL):垂直共振器面発光レーザー
(3) Single Photon Avalanche Diodes(SPAD):単一光子アバランシェ・ダイオード
STマイクロエレクトロニクス
https://www.st.com