Electronics Information Service

組込みシステム技術者向け
オンライン・マガジン

MENU

SOLUTION

ケイデンスの新技術Cadence Joint Enterprise Data and AI PlatformがAIベースのチップ設計開発を大幅に加速

2022.9.14  3:22 pm

ケイデンスのすべての演算ソフトウェア(computational software)上で膨大なデータセットを統一する新しいビッグデータ分析用インフラプラットフォーム

ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社 米国カリフォルニア州サンノゼ市、以下ケイデンス)は、9月13日(米国時間)、AIベースのチップ設計開発を加速するための新技術Cadence® Joint Enterprise Data and AI (JedAI) Platformを発表しました。
     
本技術により、電子設計自動化(EDA)において一般的に活用されている単一実行、単一エンジンのアルゴリズムから、ビッグデータと人工知能(AI)を活用したSoC設計・検証フロー全体における複数エンジンの複数実行を最適化するアルゴリズムへの世代交代を実現します。Cadence JedAI Platformは、膨大な量のチップ設計・検証データから実用的なインテリジェンスを導き出し、設計生産性およびPPA (power, performance, area) を劇的に向上させる新世代のAIドリブン設計・検証ツールの実用化を加速します。ケイデンスは、Cadence JedAI Platformにより、検証ソリューションVerisium™、インプリメンテーションソリューションCadence Cerebrus™、システム最適化ソリューションOptimality™、さらにサードパーティのシリコンライフサイクル管理システムなど各AIプラットフォーム間でビッグデータの分析を一元化します。
     
Moor Insights & Strategy社コメント
Pat Moorhead氏(CEO, founder and chief analyst)
「半導体産業が今後も市場の需要に対応し、力強い成長を続けるためには、チップ設計プロセスの効率化が不可欠です。AIとビッグデータ解析を活用して設計プロセスを改善することにより、エンジニアリングチームが膨大な量のEDAデータから重要な学習事項をすぐに抽出することが可能になります。Cadence JedAI Platformは、インテリジェントな設計の洞察を自動化し、エンジニアリングチームの生産性を大幅に拡張する機能をユーザーに提供してくれます。」
     
Cadence JedAI Platformを活用することにより、以下のように構造化されたデータと非構造化データの両方をシームレスに管理することができます:
     
・設計データ: 機能検証における波形やカバレッジ、物理レイアウト形状、タイミング/パワー/電圧/ばらつき解析レポート、設計インプリメンテーションにおいて使用されるRTL、ネットリスト、SDC仕様など
・ワークロードデータ: 実行時間、メモリ使用量、ディスク使用量など、各ジョブの入力データやジョブ間の依存性に関するメタデータ
・ワークフローデータ: デザイン開発に使用されるツールやメソドロジ
     
Cadence JedAI Platformにより、民生、ハイパースケールコンピューティング、5G通信、自動車、モバイルなど、新たなアプリケーションの開発に伴う設計の複雑性を容易に管理することが可能になります。ケイデンスのアナログ/デジタル/PCBインプリメンテーション、検証、解析ソフトウェア、およびサードパーティのアプリケーションを使用しているお客様は、Cadence JedAI Platformを使用して、すべてのビッグデータ分析を統一することができます。さらに、本プラットフォームはクラウドに対応しており、トップクラスのクラウドプロバイダーから提供される安全な設計環境上で拡張性の高いコンピューティングリソースを提供します。
      
Cadence JedAI Platformはユーザーに対して以下の利点を提供します:
・高い拡張性: エンタープライズクラスの拡張性と安全性により、複数の実行、ツール、ユーザー、デザイン、EDAドメイン間でデザインの最適化が可能
・インテリジェンスの実用化: 同一デザインの異なるバージョンや複数のデザイン間でメトリクスを迅速に比較し、PPAを改善、検証カバレッジを向上させるための推奨アクションを提供
・ワークフロー管理: 統合ワークフロー管理機能により、チップ設計メソドロジを効率的に取り込み、データコネクタを介してプロジェクト間で設計データを自動的に転送することが可能
・カスタム分析環境: Python、Jupyter Notebook、REST APIなど業界標準のオープンなユーザーインターフェースを提供し、設計者はカスタム分析(analytics)アプリケーションを作成することが可能
      
ルネサスエレクトロニクス社コメント
柴谷 聡氏(共通EDA技術開発統括部 デジタル設計技術部 部長)
「設計ターゲットを満たすためには、様々な解析が必要となり、多大な設計リソースを必要とします。Cadence JedAI Platformのビッグデータ解析を活用する事により、必要な情報を瞬時に取り出し、ボトルネックとなる問題を早期に解決することができるようになりました。今後もケイデンス社とのAIに関する協業を継続的に拡大し、設計・検証の全段階において生産性およびPPAを向上させるために広範なデータの有効活用を進めていきます。」
     
ケイデンス・コメント
Dr. Venkat Thanvantri (VP of AI R&D)
「過去10年間で、チップ設計の規模と複雑さが指数関数的に増加し、設計・検証データの量も増大しています。以前は、チップ設計のプロジェクトが終了するとデータが削除されてしまい、次のプロジェクトに移行する際の貴重なデータとして活用されていないケースがありました。過去の設計データには貴重な学習結果が含まれており、Cadence JedAI Platformは、エンジニアリングチームがこれらの学習結果に簡単にアクセスし、将来の設計に適用することを可能にし、エンジニアリング生産性およびPPAの最適化と、より予測可能で高品質な最終製品の実現をサポートします。」
       
Cadence JedAI Platformは、卓越した設計に向けて広範なインテリジェンスを実現する、ケイデンスのIntelligent System Design™戦略をサポートします。
     
詳細
http://www.cadence.com/go/jedaipr