SOLUTION
インフィニオンのAURIX™ TC4x、TERAKI社の機械学習ベース レーダー検知ソフトウェア搭載プラットフォームとして採用
2022.9.21 4:22 pm
ADASおよびADアプリケーションの精度と安全性を向上
自動運転 (AD) および先進運転支援システム (ADAS) には、車両の周辺環境を正確にセンシングすることが欠かせません。世界中のメーカーは、前例のないレベルの安全性を確保するために、認知機能をさらに強化すべく高度なセンサーとアルゴリズムに着目しています。エッジセンサー処理のマーケット リーダーであるTERAKI社は本日、より高い精度と少ない計算能力で静止物体および移動物体を正確に識別する最新のレーダー検知ソフトウェアをリリースしました。
このTERAKI社のリアル トラフィック ソリューションは、インフィニオン テクノロジーズのASIL-D準拠のAURIX™ TC4xマイクロコントローラー上で動作します。
インフィニオンのオートモーティブ事業本部マイクロコントローラー製品マーケティング ディレクターのマルコ カソル (Marco Cassol) は「車載レーダーシステムの性能は、前世代品に比べて劇的に向上しています。エッジAI処理は、このレーダー性能向上のための数多くのイノベーションの一つです。TERAKI社独自のレーダー アルゴリズムは、現在インフィニオンの新しいベクトル演算ユニット (PPU) に実装され、次世代レーダーの性能をインフィニオンのAURIX™ TC4xデバイス上でご覧いただけます」と述べています。
TERAKI社のCEOであるダニエル リチャート (Daniel Richart) は「私たちは、より少ないデータでより多くを達成するためにアルゴリズムを改良しました。レーダー信号を使って、最小限のデータ量で静止物体と移動物体を検出、正しく分類し、ADおよびADASアプリケーションに状況認識と意思決定に必要な情報を提供します。最終的には、推論時間や必要処理能力を削減することで、エッジでの限られたリソースにおいても、安全性をより確実なものにすることを目指しています」と述べました。
レーダーが費用対効果の高い信号処理の業界標準になるとともに、このセンサー技術の限界を克服することが優先されるようになりました。たとえば、干渉はレーダーの検知性能を著しく低下させるため多くの目標が存在する困難な状況下での不正確な検出につながり、また対処には高い処理能力が必要とされます。さらに、信頼度の高いレーダーでの分類のためには、静止物体と移動物体を正しく検出・分類するために、フレームあたりのデータポイントをより多くし、さらに1度以下の角度分解能といった高精度が要求されます。
TERAKI社の機械学習 (ML) アプローチは、生データを扱い、ノイズを減らすことでこの課題を解決することを意図しており、同時にレーダーの情報から、それがクラスターやその他干渉などのノイズの多い環境下でも、ターゲットを識別する認知機能として動作しつつもエッジ処理の低減を実現します。TERAKI社のML検知は、CFARなどの他のレーダー処理技術と比較して、物体あたりの検出ポイントが多く誤検出が少ないため、安全性が向上します。
インフィニオンのAURIX™ TC4xに実装されたTERAKI社のMLベース アルゴリズムは、最初の高速フーリエ変換 (FFT) 後のレーダー信号を削減し、同じRAM/fpsで物体欠落のエラー率を最大25倍低減させます。CFARと比較すると、分類精度は最大20%向上し、有効検出数は15%増加します。今回のリリースでTERAKI社は、エッジデバイスのチップセット アーキテクチャを向上し、AURIX™ TC4xでリアルタイム処理性能を確保し、F1スコアを損なうことなく、8ビットまたは32ビットではなく、4ビットまたは5ビットのビットレート消費とすることで演算要件の緩和を実現しました。これにより、必要なメモリを最大で2倍削減することができます。
TERAKI社について
TERAK社はベルリンを拠点とするAIソフトウェア企業で、より安全な自動運転モビリティを低コストで実現することに特化した企業です。TERAKI社のソフトウェアは、L2、L3、L4車両がリアルタイムでより正確に物体を検出し、分類することを可能にします。また、軽量かつエッジで大量のセンサーデータ (ビデオ、レーダー、ライダー) を選択・処理し、より安全な自動運転のためのより信頼度の高い判断を10倍効率的に行います。自動車などの自動運転車、配送ロボット、フォークリフト、電車などのユースケースを想定しています。TERAKI社は、インフィニオンやSynopsys社などの大手チップセット サプライヤーとパートナーシップを締結しています。TERAKI社の技術は、2024年から量産の始まる自動車より使用される予定です。現在、50名の従業員を擁し、ベルリンと東京にオフィスを構えています。
teraki.com/news/ml-based-detector-infineon/