第5回 仙人、SESSAMEセミナーの地方巡業を語る。

今回の「SESSAMEの愉快な仲間たち」は、ルネサスソリューションズの坂本直史です。
坂本さんは、SESSAMEの仙人として"知識体系・用語集"や"セミナーテキスト作成&講師"を中心に活動しています。

今回は、昨年10月末に開催された九州でのセミナーのお話から、今後のテキストやセミナーについてお聞きしたいと思います。

 

渡辺

坂本さん、よろしくお願いします。

坂本

お手柔らかにね

渡辺

坂本さん、昨年10月末に開催された九州でのセミナーはどうでしたか?

坂本

20代の若手がほとんどで、非常に熱心に聴講頂けたのではないかと思います。最後のQ&Aでは、「この講義の内容を実行すれば、仕事がスムーズに進みますか?」という質問が飛び出して、各講師がコメントしていました。やって良かったと思っています。

渡辺

そういえば以前、大阪でもセミナーをやりましたね。今後の東京以外でのセミナー開催についてどのようにお考えですか? セミナーの講師確保は課題だと思いますが。

坂本

大相撲に習って地方巡業を提案している私としては、北海道や東北でも是非開催したいと思います。東京は展示会やセミナーも多いですが、そうでない場所でセミナーを開催するのはボランティア団体こそが頑張るところではないかと思っています。

   

渡辺

これからのセミナーテキストについて方向性など教えてください。SESSAMEスキル標準でこれまでのセミナーのカバレッジを見てみると歯抜けが多いですよね? 今後、注力するのはどのあたりですか?

坂本

SESSAMEはいろいろな関心を持ったメンバーの集まりですから、いろいろな教材ができてくると思っています。息長く活動していくので徐々にカバーしていけると考えています。個人的には初級コースの充実と初級コースの前段階の初心者向けの教材開発に関心があります。

 

先日、機会があってある大学で集中講義をダンディギルド+西先生で担当しました。大学での一般的な情報教育と組込みソフトウェア開発に要求される技術とはギャップがありますが、それを教えるのは大学ではなく開発現場です。開発現場ではご存じのようにOJTという名のもと、体系的な指導はできません。

 

大学でも教育されているC言語を例に取って、C言語がカバーする範囲を円に例えます。大学で教えるC言語は中心近くの中の方ですが、組込みソフトウェアを作る際に知っておいて欲しいのは、中心近くはもちろんですが、円周近くも必須で、よく使います。そういうところをカバーする組込み初心者向けの教材が必要だと思います。これは何も学生だけではなく、同じソフトウェアでも別の分野から組込みソフトウェア開発に新たに携わろうとする方々にも必要なものになります。

 

あと、私の本職はマイコン用ミドルウェア開発で、いろいろなミドルウェア開発に携わってきました。ミドルウェアとは、あるひとまとまりの機能を持つソフトウェアを汎用的な形でライブラリとしたもので、通信プロトコル、ファイルシステム、オーディオや画像処理など、その機能はさまざまです。そういったものの開発をずっとやってきた関係で、どの分野もそこそこ知っているけど、専門家ではないという少し変わった(?)技術を持っています。渡辺さんの質問に戻って、SESSAMEスキル標準で抜けが多いところにドメイン系の知識がありますが、こちらでもお役に立てると思っています。順次やっていきたいですね。

渡辺

知識体系や用語集の今後は? まだまだ増えるのでしょうか?

坂本

申し訳ありません、完成もしていないのにさぼっていて^^; 是非再開して充実させていきたいと思います。

渡辺

最後に、今後の組込みソフト業界やエンジニアに一言お願いします。

坂本

組込みソフトウェアは今後の日本を支えていく技術です。同時に技術的にもものすごく面白いものです。技術向上と地位向上を目指して頑張ってください。その時に、少し広く世界を広げたい、何かやりたいと思ったときに、気軽にSESSAMEに入って我々と一緒に活動しましょう。足りないものを何かの形で満足させてくれる、それがSESSAMEのコミュニティです。

渡辺

インタビューは以上です。ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

2005年のスタートです。すっかり更新をサボってしまいました。ごめんなさい。前回のコラム掲載は「特別編: 渡辺のぼるの夏日記 2004.」だった訳で、あっという間に秋が終わり冬本番だったりして。

2004/10/1にはIPA/SECが設立され、11月中旬にはSEC設立記念講演、ET2004とイベント続き。12月も論文発表やセミナー講演など大忙し。この辺りはまたまた言い訳コラム「特別編: 渡辺のぼるの冬日記 2004-2005.」として後日。

2004年は「組込み元年」としてがんばってきました。2005年のキャッチフレーズは「組込み、価値創造!」なんてどうでしょうか?皆さん。それでは今年もよろしくお願いします。

バックナンバー

>> 第1回 2004年は"組込み元年"。皆さん一緒に盛り上がりましょう!!

>> 第2回 文献ポインタ集に魅せられて

>> 第3回 未踏ソフトウェア創造事業とベンチャー育成と。

>> 第4回 テストでワクワク。陽気で前向きなテスト屋

>> 特別編 渡辺のぼるの夏日記 2004.


渡辺 登

1986年、沖通信システム(株)に入社。加入者線装置,中継/伝送装置,PHS,携帯電話機などの組込みソフトウェア開発に従事。
リックテレコム社の情報処理(ネットワーク)試験対策本解説執筆や社内講師なども手掛ける。
SESSAMEでは、組込みソフトのスキル標準作成に関する草案作成とモデレータを担当。この流れから、経済産業省の"組込みソフトウェア開発力強化推進委員会準備会"に参画。
自称:組込みソフト・スキル標準エバンジェリスト。
特技はサッカー。しかし、プレー中に左膝前十字靭帯の切断により現役生活に幕を降ろしている。
メールアドレス:noboru2000gt@yahoo.co.jp